信号待ちなし、事故減少 メリット多い「ラウンドアバウト」、なぜか日本で広がらないワケ

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「ラウンドアバウト」、あるいは「環状交差点」と呼ばれる交差点がある。メリットが多いのに日本で浸透しないのは、なぜなのだろうか。

環境にも優しい交差点

ラウンドアバウトの標識(画像:写真AC)
ラウンドアバウトの標識(画像:写真AC)

 ただの直進でよかったはずが、ラウンドアバウトになった途端、随分と手間がかかるようになった、と感じる向きもあろう。確かにそういう面もあるが、よくよく考えてみるとメリットがいくつも浮かび上がってくる。

 まず、信号を必要としないので、信号のある交差点のような信号待ちがそもそも発生しない。環道への流出入がスムーズであれば、信号待ちをした時より、短い時間で交差点を抜けられるはずだ(遅れ時間の削減)。そして信号がないので、当然その維持コストがかからない。さらに、信号待ちがなければ燃料消費(=電気自動車以外のCO2排出)も削減できるのである。

 また、ラウンドアバウトには事故を減らす効果もある。すでに十分なデータを獲得した諸外国では、実際に事故の削減に貢献していることが分かっている。信号がない分、ドライバーが自身の目でより慎重に安全確認を行うし、車の走行速度が下がることで事故が起きにくくなる。加えて、速度が低下したことで、仮に事故が起きても、重大事故になりにくい。その他にも、「中央島に緑などを植えることで景観が向上する」といったメリットが挙げられる。

 環境に優しく、安全性が高く、見た目も麗しい……。ラウンドアバウトはメリットだらけの、先進文明、未来に求められるべき交差点のようにすら思えてくるのである。

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