思想なき日本の「EV普及計画」 大雪対策など課題山積、北欧に学ぶべき3つの視点とは?【連載】和田憲一郎のモビリティ千思万考(11)

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大雪で車が立ち往生した際、EVはエネルギー源がバッテリーしかないことから、不安の声がある。EV普及が進むノルウェーではどのような対応をしているのであろうか。

厳寒地でEV普及

ノルウェーの雪景色(画像:写真AC)
ノルウェーの雪景色(画像:写真AC)

 ノルウェー道路連盟(OFV)によれば、2022年の同国の乗用車販売に占めるEVの割合は79.3%と、前年の64.5%を上回り、過去最高を更新したようだ。これは間違いなく世界一のEV普及国であろう。筆者も以前に急速充電関係で2度ノルウェーを訪問したことがあるが、日本でも報じられることの多い大雪対策については不明だったので、ノルウェー関係者などに確認を行った。

 最も日本と異なると感じたのは、緊急対応方法である。ノルウェーでは道路交通法第7条にて、一時的に道路の閉鎖もしくは交通規制を実施できる権限が定められており、一元化されている。具体的には、ノルウェー運輸通信省所管の公営道路局(Statens Vegvesen)が降雪量、路面凍結、除雪作業の進捗(しんちょく)状況などを考慮して、高速道路等の閉鎖を決定することができるようだ。

 それに比べて、日本の場合やや複雑である。高速道路を管理しているのは、東日本高速道路(NEXCO東日本)など各NEXCOであるが、道路を保有しているのは日本高速道路保有・債務返済機構(略称:高速道路機構)という独立行政法人である。そのため、高速道路を大雪などで通行止めする場合、一般ユーザーへの連絡窓口となるNEXCOは、高速道路機構、国土交通省地方整備局、同地方運輸局、地元警察との調整が必要になるようだ。

 ノルウェーと日本では組織の成り立ちが異なることから一概には言えないが、シンプルな方が迅速に決定・実行がなされるであろう。

 また大雪への「情報発信」や「道路の除雪作業」も、ノルウェーではきめ細かく実施されている。一方、大雪に対する事前告知や、冬用タイヤ・チェーンの装着、凍結防止のための融雪剤散布、除雪作業などは、ほぼ日本と同様である。

 なお、ノルウェーでは、EVが増加するにつれ、EV用のレスキュー体制も充実している。例えば、ノルウェー最大手のViking社では、EVに対応可能な発電機付きレッカー車が増えているようだ。

 人口約540万人のノルウェーでは、充電インフラが充実していることも挙げられる。充電インフラは、パブリックにて普通充電器、急速充電器合わせて約2万基が設置されている。日本の人口比で換算すると、約44万基が設置されていることとなる。

 特に高速道路の急速充電器は、高出力の300kW前後まで備えており、ガソリンスタンド並みの複数基が設置されている。なお、近年はテスラの急速充電器スーパーチャージャーが、テスラオーナーのみならず、全てのEVオーナーに開放され、利用できる急速充電器が増加した。

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