JR東海の名作CM「クリスマス・エクスプレス」が忘れられない! 駅を巡る淡き恋の物語、あの“牧瀬スマイル”をもう一度
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“イメージ重視”の終焉

雑誌『広告批評』が選んだ1990(平成2)年のテレビCMベストテンで、JR東海の「クリスマス・エクスプレス」は7位、JR東日本の「もっと」は10位にランクインした。このことからも、サービスそのものを訴求するより、視聴者の感性に訴える“イメージ重視”が時代にマッチしていたのがわかる。
ちなみに、このCM効果がもっとも機能したのは当時の
「就職戦線」
だった。
JR東海は「シンデレラ・エクスプレス」のCMを開始した1988年から人気企業の上位の常連となり、当時発行されていた『ぴあ就職読本』の「よい広告、CI活動をしている人気企業」では
「1位」
に輝いている。CIとはコーポレートアイデンティティー(企業の特徴や理念などを簡潔に提示すること)を意味する。
このCMを通して、JRが国鉄とは異なる「先進性のある企業」と認知されたのは明らかであり、その波及効果で、
「クリスマスイブ = 恋人たちの聖夜」
という常識が生まれたのだった。
しかし、JR東海の広告戦略は1992年で終わりを迎えた。バブル景気の崩壊とともにやってきた不況で、広告費が削減されたためだった。
同社はCMによって企業イメージを確立したが、1993年には不況のあおりを受け、売り上げは前年度比マイナスになった。結果、それまで
「年間90億円」
もかけていた広告・宣伝費が大幅にカットされた。こうして、CMも“イメージ重視”から、“即物的”な増収を目指すものに変わった。
1993年から行われたJR東海のキャンペーンでは、
・首都圏:そうだ 京都、行こう
・中部/関西:のぞみで行く東京プラスワン
のコピーが使われた。1993年3月のダイヤ改正で「のぞみ」が毎時1本になったことを宣伝するCMでは
「のぞみに乗ったよ」
と、過去の面影は姿を消した。エクスプレスシリーズとは異なるCMスタイルは「現実路線」として受け入れられながらも、視聴者には一抹の寂しさを与えた。