「全国旅行支援」で観光需要は本当に回復するのか? 物価高で消費者の“節約志向”加速、レジャーはその対象にならないか
依然不透明な状況にある観光産業

その一方、インバウンドは円安の割安感から消費額の拡大が期待され、すでに日本でブランド品などを「爆買い」する状況も出てきている。10月の訪日外客数は49万8600人で、前月から141%の大幅な増加となった。
しかし、コロナ前の水準からはまだほど遠い。インバウンドの本格回復を不安視する声がない訳ではない。わが国のインバウンドの中心を占めるのは中国圏だ。しかし、中国ではゼロコロナ政策を推し進めており、緩和してきているとはいうものの、コロナ感染者が出れば外出制限が大規模に課せられる。現在もゼロコロナが訪日に影響を与えていると考えられ、インバウンドがコロナ以前のレベルに回復するには時間がかかる可能性がある。
観光産業としては、とにかく今の需要をできるだけ吸収したいところだが、10月から需要が一気に復活したことにより、現場では十分に対応しきれていない状況がある。長引くコロナ禍で通常営業ができなくなったことから、すでに多くの従業員が辞めており、人手不足が深刻な課題となっている。特に接客などある程度の専門性が必要な職種はすぐに人員を増やすことはできないだろう。
第8波の拡大など今後の先行きに不安感があるなか、大量に従業員を増やすのはちゅうちょせざるを得ない。今はできる範囲での対応ということになる。さらに、最近は円安などによる仕入れの価格の値上げが収益を圧迫し始めており、それも今後の懸念材料だ。
観光産業の市場は依然不透明な状況にある。改めてこれからの低成長社会、不確実なリスク社会、オンライン社会の時代に求められる観光を模索していかなくてはならない。
従来のように、需要喚起策として大型開発に依存することもこれからはリスクの高い選択になる。地域の小規模でも希少性のある観光を見直さなくてはならないだろう。コロナ禍ではじまったオンラインツアーも一過性のものとはせず、多様性のある集客化・収益化のスキームを検討すべきだろう。
ぜひ、この機会に支援策を利用して旅行に出掛けてみてはどうだろうか。