ライダーの「観光需要」をあなどるな コロナ禍で2輪販売も大幅増、自治体が模索すべき車・バス以外の道とは
ブームははるか昔

新型コロナウイルスの感染拡大下で、オートバイの販売が伸びている。
オートバイといえば、国内では1980年代にホンダやカワサキ、スズキ、ヤマハなどの国産車のブームがあり市場が拡大したものの、ブームははるか昔に過ぎており、近年は市場が成熟しきって停滞している。
「若者の自動車離れ」といわれるように、若者は化石燃料を使用してCO2を吐き出す自動車やオートバイなどの乗り物を敬遠する。
また、経済的な負担からもこれらに高額支出せず、シティサイクルやロードバイク、eバイクなどの電動アシスト自転車に需要が流れている。
2020年の市場規模は300億円

2輪自動車の市場規模を見ると、2017年まではやはり200億円前半の横ばい状態であった。しかし、2018年は250億円となって徐々に増加の兆しが見られ、コロナ禍となった2020年の市場規模は300億円と大きく拡大していることがわかる。
コロナ禍では、鉄道やバスなどの公共交通機関は不特定多数が乗り合わせて比較的密室であり、感染の不安が潜在的にあった。感染拡大時には緊急事態宣言中でなくとも自粛意識が強くなり、公共交通機関を利用して遠方へ旅行するのも人目がはばかられた。
しかし、オートバイならばオープンエアで運転できて感染の心配が少なく、同乗者の人目への気兼ねもない。自動車と比較すれば購入価格や維持費も安く、駐車に場所を取らないため、オートバイに白羽の矢が立ったのだろう。
また、近年はソロキャンプが人気であるが、配信されているキャンプ動画のなかにはオートバイに荷物を積んで気軽にソロキャンプに出掛けるものもあり、改めてその
・手軽さ
・機動性
に魅力を感じている人がいるのではないかと思われる。
今後もオートバイの市場規模が拡大し続けるかどうかについては、現在の燃料費高騰の状況いかんで、不透明ともいえる。価格が上昇すれば利用や購入を敬遠する人が出てくる可能性も否めない。しかし、ここにきて改めてオートバイの良さが認識されはじめていることは間違いない。