完全自動運転の「車いす」はなぜ普及しないのか? 高齢化社会の重要ツールも、実用化に立ちふさがる問題点とそれ以上の可能性

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少子高齢化が叫ばれる昨今、ワンボタンで目的地まで自動操縦してくれる車いすの完全自動運実用化が着々と進められている。今後の課題と懸念点はいかに。

自動運転の弊害とは

歩道のない道路を歩く老人(画像:写真AC)
歩道のない道路を歩く老人(画像:写真AC)

 自動運転車いすの実用が進んだ未来に待ち受ける弊害のひとつとして、考えられるのは

「自分で歩ける能力があるにも関わらず、歩く機会がなくなる」

ことだ。その結果として、歩行困難者を増やしてしまう可能性は大きな懸念点といえるだろう。

 世界保健機関(WHO)は、運動不足が心臓疾患や糖尿病、大腸がんなど多数の病気のリスクとなり得ると警告している。運動不足が原因で死亡する人は全世界で年間530万人を上回り、これは世界の年間死亡数の1割近い数である。

 歩行する機会が少なくなると筋力が弱まり、肥満など生活習慣病や高血圧の危険性が高まってくる。夜間の睡眠の質低下にもつながり、自律神経のバランスが崩れてくることもあるそうだ。そのほかにも便秘、骨密度の低下など、歩行頻度の減少によって発生するといわれているデメリットは挙げればキリがない。

 また、2012年に行われた国際アルツハイマー病会議では「歩行速度の遅れや変わりやすい歩幅などの歩行困難は、認知機能の減退の表れにつながる」という報告もされている。認知機能の程度が重い人ほど歩行速度が遅くなるというから、まさに

「歩行 = 健康的な生活」

は直結してるといっても過言ではないかもしれない。

 しかし、認知症予防には「社会との交流」が大きな鍵を握るという研究結果も示されている。人は外出をする機会が減少すると、生活意欲が低下し、心のバランスが崩れ、うつ病の発症率が向上するという。とすれば歩行困難者が社会交流を保(たも)てる移動手段の拡充は、認知症予防につながるかもしれない。

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