完全自動運転の「車いす」はなぜ普及しないのか? 高齢化社会の重要ツールも、実用化に立ちふさがる問題点とそれ以上の可能性

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少子高齢化が叫ばれる昨今、ワンボタンで目的地まで自動操縦してくれる車いすの完全自動運実用化が着々と進められている。今後の課題と懸念点はいかに。

実用化における問題点と期待

スロープを使った車いす(画像:写真AC)
スロープを使った車いす(画像:写真AC)

 完全車いす自動運転が実用化され、公道での使用が検討された際、まず想像できるのが

「段差」

の問題だ。病院や空港などの施設内に限った利用であれば先周りして取り除くことは容易だ。ところが公道となった場合、舗装に伴う費用や、転倒などによる安全面への考慮もしなくてはいけない。また信号などへの反応、自動車・自転車などに対応する動作が完璧かといえば、安全面でパーフェクトというにはまだまだ懸念点が残る。

 たとえ施設内であっても歩行者との兼ね合いや、子どもの思いも寄らない動きへのリスク対策も忘れてはならない。自動車の自動運転が直面している問題は、ずっと低速で動く車いすの前にも立ちふさがっているというわけだ。いや、利用シーンが公道上だけではないだけ、難解さが増しているといえるだろうか。

 ではなぜ、難しいとされている技術に国や大企業がこぞって向き合っているのか。それには、介護者の負担軽減という大きな希望があるからだ。財務省によると日本における少子高齢化は「約40年後までに、65歳以上人口は、ほぼ横ばいで推移する一方で、20歳~64歳人口は、大幅に減少し、高齢化率は10%程度上昇することが見込まれる」とされている。端的にいって、少子化によって高齢者を支える人手が足りない状態なのだ。

 通常の車いすで移動する場合、自分で車輪を回して進めていくか、もしくは他者の力を借りて車いすを押してもらわなくてはいけない。そして筋力が落ちている老人にとって、自分で車輪を回すという動作がどれだけ過酷かは容易に想像できる。高齢者が介護者に頼ることなく自身の意思で行き先を決め、移動できるとなれば、実用化が高齢者・介護者の双方から切願されるのも当然の話といえる。

 高齢になり歩行に心配が出てきても、自動運転車いすを利用することでスマートに楽しく外出ができるのは素晴らしい。しかし、歩かなくなることで起こり得る健康被害の懸念を忘れてはいけない。

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