ジャンボフェリーの新船「あおい」は高速バス勢に勝てるのか? 神戸~高松10月就航、しかも「ひとり用個室」がないワケとは

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10月22日に就航したジャンボフェリーの新船「あおい」。その魅力と旧船との違いとは。

10月22日から就航

新船「あおい」(画像:ジャンボフェリー)
新船「あおい」(画像:ジャンボフェリー)

 兵庫県神戸市に本社を置く海運会社・ジャンボフェリーは、神戸港と坂手港(香川県小豆島町)、高松東港(高松市)の間で、1日4往復のフェリー航路を開設している。

 ただ、神戸港~高松東港間は約4時間の直行便で結んでいるものの、使用する船は建造から30年程度が経過、老朽化が進んでいた。そんななか、新船の「あおい」が2022年10月22日から就航した。

 本稿ではあおいの就航と船内設備を紹介すると同時に、既存の「こんぴら2」などの船で好評だった“ひとり用個室”が設けられていない理由を述べたい。

全長132m、総トン数5200t

航路図(画像:ジャンボフェリー)
航路図(画像:ジャンボフェリー)

 あおいはこんぴら2の代船として、内海造船瀬戸田工場で建造され、2022年5月28日に進水した。船名は「碧い海」「蒼い空」「青い風」という、瀬戸内の色彩をイメージしている。なお、ジャンボフェリーは加藤汽船グループに属している。

 船体デザインは、白い船が瀬戸内の波間を静かに進む日常風景をイメージしている。そのため、胴体上部に白色、下部に紺色の曲線が描かれている。また、青く塗られた船首扉に7本、煙突に5本、船尾扉3本の白線を添えて、七五三の吉数としている。16世紀にしま模様の舶来織物が流行った際、「島渡り」「島もの」と呼ばれた伝統をイメージした。

 さて、あおいの船体データだが、次のとおりだ。

・総トン数:5200t
・全長:132m
・全幅:21m
・旅客定員:620人
・トラックの積載台数:84台
・船速:18.5kt(約34km/h)

 これは既存の「りつりん2」とこんぴら2の総トン数が3664tで、全長115.91m、全幅20m、旅客定員475人、8tトラックの積載台数61台、乗用車38台と比べて、大型化している。その理由は、トラック業界の運転手不足で物流の担い手であるフェリーが見直されているためだ。

 フェリーなら、シャシーや海上コンテナをトラクターヘッドでけん引して船内に積み込み、そこでトラクターヘッドを切り離して、無人航送が可能となる。着地では別のトラクターヘッドが迎えに来ており、それにけん引されてドレージ輸送(コンテナに入れたまま陸上輸送すること)される。

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