新型プリウスの衝撃と懸念 「ハイスペック&スポーティー」はかえってユーザーの誤解を生まないか
11月16日、世界初公開されたトヨタ自動車の新型プリウス。流線型のデザインは、まさにスポーツカーのそれだ。課題点はあるのか。
始まった第2形態への進化

しかし、エコカーという観点で見ると、新型プリウスは従来と同程度の燃費を維持している。エコカーユーザーが意識している環境へのやさしさ、ランニングコストの安さといったポイントは問題なくクリアしていることになる。
さらに、最大出力は223馬力を誇る。これは日産「シルビア」やホンダ「シビック」などのスポーツカーと、同程度だ。また、停車した状態から時速100km/hに到達するまでに要するタイムは6.7秒であり、日本の公道上では活用する機会がない程の高スペックである。
このようなスペック・環境性能を兼ね備えた新型プリウスは、従来のエコカーユーザーだけではなく、
「新たなユーザー層」
を取り込める可能性があるのではないか。それこそが、まさにプリウス開発陣が狙っていたことであると筆者(吉井たくや、交通ライター)は考える。
また、ハイブリッドカーはガソリン車に比べ、部品点数が10%ほど多くなっている。EV化による部品点数減少の影響を受けるであろう自動車部品サプライヤーにとって、新型プリウスのヒットは祈願だろう。
1997(平成9)年、「21世紀に間に合いました」というキャッチコピーのもと、初代プリウスは発売された。25年たった現在、もはやハイブリッドカーだけでなく、完全に電気のみで走行する車も街中を駆け抜けている。
ハイブリッドカーの存在意義が問われるなか、その先駆けであるプリウスの第2形態への進化が始まろうとしている。