新型プリウスの衝撃と懸念 「ハイスペック&スポーティー」はかえってユーザーの誤解を生まないか

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11月16日、世界初公開されたトヨタ自動車の新型プリウス。流線型のデザインは、まさにスポーツカーのそれだ。課題点はあるのか。

エコカーユーザーから支持されるのか

「2022年 次世代自動車に関する消費者意識調査」(画像:デロイト・トーマツ)
「2022年 次世代自動車に関する消費者意識調査」(画像:デロイト・トーマツ)

 今回の新型プリウスは、かなり野心的な車である。なぜなら、エコカーユーザーは「デザイン」「スポーツカーのような走り」は重視していないからだ。デロイト・トーマツによる「2022年 次世代自動車に関する消費者意識調査」によると、消費者がエコカーに求める条件は以下のようなものである。

 エコカーを選択する条件として

・環境に優しそうだから:80%
・ランニングコストを含めたトータルコストで安いと感じるから:67%

となっている。一方で

・これまでにない製品を使用する高揚感を味わいたいから:45%
・周囲にアピール・自慢したいから:28%

とも。

 依然として、エコカーユーザーは「環境へのやさしさ」「ランニングコストの安さ」を重視していることが分かる。新型プリウスで重視されているデザインの新しさや走行性能について、エコカーユーザー内に高いニーズがあるとはいえないのではないだろうか。

 また、プリウスはシニア層や公用車等のフォーマルな車として人気を博してきた経緯がある。新型プリウスはこのようなユーザー層にとっては、やや違和感を持たれてしまう懸念がある。シニア層にとって、新型プリウスの走行性能は

「ハイスペックすぎる」

と思われ、フォーマルな車としてその先鋭的なデザインは

「スポーティーすぎる」

と思われるからだ。

 プリウスがシニア層にとって人気の理由は、なんといっても燃費だろう。会社を退職し、余生を過ごすシニア層にとって、燃料費は少しでも節約したいはずだ。しかし、今回の新型プリウスの燃費が大幅に向上しているという発表は今のところない。

 公用車にプリウスが人気の理由は、環境に良いというイメージがあるためだ。世界的に環境保護の重要性がさけばれるなか、政治的にも環境保護を考える必要性がある。プリウスは環境に良いというイメージは誰もが共有している。政治が率先して環境保護を考えているというシンボル的な存在として、プリウスは使用されているのだ。

 だが、今回の新型プリウスのデザインは、公用車としては、やや派手すぎるといえるだろう。

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