「もくろみが外れた」 トヨタが見直しを迫られるBEV戦略、想像以上の普及スピードにたじろぐ現実

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トヨタがBEV戦略の予測にズレが生じていることを認めた。その背景には何があるのか。

そもそもどのような戦略を描いたのか

2021年12月14日に開かれたトヨタのEV戦略発表会(画像:トヨタ自動車)
2021年12月14日に開かれたトヨタのEV戦略発表会(画像:トヨタ自動車)

 そもそも、トヨタはどのようなBEV戦略を描いていたのだろうか。ここで、2021年12月に発表された戦略をひもといてみる。

・2030年におけるBEVのグローバル販売台数を年間350万台に
・レクサスは2030年までに全てのカテゴリーでBEVのフルラインアップを実現し、欧州、北米、中国でBEV100%を目指す
・電池関連の新規投資を1.5兆円から2兆円に増額

 このうち、BEVグローバル販売台数は、2021年5月の決算では燃料電池自動車(FCEV)を含んだゼロエミッションビークル(ZEV)で200万台としていた。2021年5月と12月の目標を比較すると、BEVだけで350万台という数字は、とてつもなくチャレンジングな数字にみえる。

 実際、豊田章男社長も350万台という目標について、次のように述べている。

「150万台プラスの350万台だと、ダイムラー、PSA、スズキが全てをBEVにして新たに立ち上がる規模です」

 しかしながら、2021年度におけるトヨタのグローバル販売台数の約950万台からすると、350万台は3割にも満たない。2021年12月の時点では、全方位戦略のトヨタにとって、BEVは幅広いラインアップの一部でしかなかった。一方で、豊田社長は次のようにも述べている。

「正解がわからない時代、多様化の時代においては、市場の動向をみながら、生産する種類や量をフレキシブルに変えていくことが大切になります」
「未来を予測することよりも、変化にすぐ対応できることが大切だと考えております。だからこそ、正解への道筋がはっきりするまで、お客さまの選択肢を残し続けたいと考えています」

 つまり、戦略を見直すこと自体が既に折り込み済みであり、今回の報道もトヨタは変化にすぐに対応しているだけともいえる。

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