財政難の京都市交通局 再建には「宿泊税」活用が一番なワケ

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財政難の京都市・京都市交通局。それを救う手段はあるのか。

京都市交通局の厳しい経営状況

京都市バス(画像:堀内重人)
京都市バス(画像:堀内重人)

 前述のとおり、京都市交通局は「財政健全化法」に基づく経営健全化団体となった。経営健全化団体とは得られる利益に対し、運転資金の不足額が20%を超えた地方公営企業が該当する。企業で言えば、倒産に近い状態になったことを意味する。

 総務省の管理下に入り、中長期の経営計画のうち、地下鉄事業に関する内容は財政健全化法に基づく経営健全化計画を策定し、経営再建に取り組まなければならない。

 京都市交通局の場合、市バスより地下鉄のほうが財務事情が悪い。なぜなら、地下鉄東西線を建設したことが影響しているからだ。京都市は埋蔵文化財などが多いため、その発掘が工事を遅らせた。結果的に建設費の高騰を招き、運賃に跳ね返った。事実、政令指定都市の地下鉄で、初乗りなどを含めた運賃が最も高いのが京都市交通局なのだ。

 経営健全化団体になったため、職員の給与を引き下げが必要があった。1999(平成11)年度のバス運転士平均給与は926万円だったが、2020年度は559万6000円と、実に

「39.6%」

も減少した。とっても、いまだ民間事業者並みではある。

 給与カットのため、市バス事業などの民間委託を推進した。また、そのほかの経費削減として、バス車両の更新期間を14年から18年へ見直し、自動車整備業務の民間委託を推進した。欠損補助についても、民間並みのコストで運営しても生じる場合は一般会計から財政支援を行うことにした。

 地下鉄も給与が引き下げられ、1999年度の運転士の平均給与は655万7000円だったが、2020年度は597万2000円と

「8.9%」

削減された。民間の電車運転士の平均給与費が666万円であるから、京都市交通局の運転士の方が低くなった。そのほか、駅職員業務の民間委託の推進、改集札機・券売機・昇降機設備などの更新期間を1~5年延長した。市バス・地下鉄ともに経費を削減しつつ、利用者の増加に向けた活性化策が実施され、利用者も増加に転じたが、コロナ禍で京都市交通局の経営努力も水泡に帰した。

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