財政難の京都市交通局 再建には「宿泊税」活用が一番なワケ
老朽化車両の多い京都市交通局

コロナ禍でインバウンド(訪日外国人)を始めとする観光需要の減少で、京都市交通局が「経営健全化団体」となった。京都市が支えればよいという意見もあるが、実は京都市自体の財政も非常に厳しい。運賃を値上げすれば利用者が離れ、職員の給料をカットすれば有能な職員が離職したり、今後採用できなくなったりする。
京都市交通局には、
・老朽化した地下鉄車両
・取り換え時期を迎えたバス車両
などが多い。車両更新を円滑に行い、サービス改善で利用者を増やすためには、ホテルの宿泊客に対して課税する「宿泊税」を増額して、得られた資金を活用する方法がある。
コロナによる利用者数の落ち込み

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年2月以降、京都市交通局の運営車両の利用者数は激減した。その結果、2020年度の運賃収入は地下鉄事業とバス事業を合わせて、前年度比約150億円の減収となった。
その背景には外出自粛以外に、テレワークの浸透やZoomを使った遠隔授業の実施など、新しい生活様式の定着がある。さらに、地下鉄や市バスの利用者数を押し上げていたインバウンド需要が激減した。インバウンドについては早期の利用回復が見込めないため、京都市交通局は極めて厳しい経営状況が続く見通しだ。
2020年度の地下鉄事業の経常収支は年間52億9200万円の赤字で、バス事業の経常収支も48億500万円の赤字だった。2021年度も、大きな回復は見込めず、地下鉄事業・バス事業ともに、未曾有(みぞう)の危機に直面している。
だが需要が戻りにくいため、職員の給与削減だけでは経営改善が難しい。京都市交通局は、2026年にはコロナ禍前の95%まで戻ると予想しているが、まだ不透明な状況だ。
ただ、京都市は大学が多い街であり、15~64歳までの生産年齢人口の2割は学生だ。学生は大学近くのカフェに行ったり、アルバイトをしていたりする学生も多いので、公共交通に対するニーズは多いと京都市交通局は見ている。