SuicaやPASMOの「二の舞」に? 最近「交通系アプリ」が地域ばらばらに乱立しているワケ
さまざまな交通機関を束ねる便利なMaaSアプリが、全国各地で乱立している。地域ごとにばらばらなツールが登場している理由は何か。今後の展望と併せて解説する。
なぜMaaSアプリは乱立したのか?
西日本旅客鉄道(JR西日本)のMaaSアプリ「WESTER」、福岡市・横浜市・富山市などで使える「my route」、金沢MaaSコンソーシアムの「のりまっし金沢」など、さまざまなMaaSアプリが全国で乱立している。
地域によってばらばらのものも多く、中には利用者の少ないアプリがないわけでもない。そのため地域ごとのMaaSアプリに意味があるのかと感じる人もいるだろう。しかし、それにも関わらずMaaSを推進するのには理由があるようだ。
1. MaaSアプリの代表格「Whim」に習った
日本でMaaSの火付け役となったのはトヨタグループ。2017年にトヨタフィナンシャルサービスが、あいおいニッセイ同和損害保険らとMaaSグローバル社に出資したことで大きく注目された。
さらに2018年には、トヨタ自動車が「モビリティ・カンパニーに変革する」と決意表明し、MaaS専用次世代電動車「e-Pallet Concept」を発表したことや、クルマ業界のモビリティ革命を称する「CASE」のキーワードが注目されたタイミングがぶつかった。
MaaSは、国内の自動車業界や鉄道の業界で「あらゆる社会課題を解決する魔法の手法であり斬新だ」と高く評価され、アプリの検討が国内でも始まった。
世界におけるMaaSアプリの代表格は、MaaSの父とも言われたSampo Hietanen氏がCEOを務めるフィンランドのMaaS Global社のWhim(ウィム)だ。このWhimを、多くのMaaS企画担当者が参考にした。