南海電鉄に暗雲! 泉北ニュータウン「30年間で人口3割減」という現実、近大進出は起死回生となれるのか?
近大進出が起死回生となるか
大阪府の堺市と和泉市にまたがる泉北ニュータウンの人口減少が止まらない。大阪難波と結ぶ泉北高速鉄道は利用者の減少が続き、親会社・南海電鉄の将来に暗い影を落とす。
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大型クレーンが並ぶなか、工事用車両が出入りを繰り返す。建設中の大型施設はその全貌が次第に見えてきた。10月末に訪れた泉北ニュータウンの中心・泉北高速鉄道泉ケ丘駅(堺市南区)前。堺市立泉ヶ丘プールなどの跡地で2025年秋のオープンに向け、近畿大新キャンパスの工事が続く。
施設は病院の外来棟や診療棟、大学の研究棟、講義・実習棟など10を超す。延べ床面積は計約14万平方メートル。スーパーの「ロピア」などが入る商業施設のジョイパーク泉ヶ丘、高島屋が入るパンジョ、大型児童館の堺市立ビッグバンなど大型施設が並ぶ泉ケ丘駅前で群を抜く規模だ。
新キャンパスには大阪狭山市から医学部と付属病院が移転するほか、看護学部新設が計画されている。医学、看護の両学部で学生定員は約1100人。堺市は教職員や病院スタッフらを含め、来街者が
「1万人規模」
で増える可能性があると見ている。人口減少が続く泉北ニュータウン活性化の起死回生策になるかもしれない。
泉北ニュータウンは堺市南区と一部和泉市の丘陵地帯に大阪府が開発した。開発面積は西日本最大級の約1560ha。泉ヶ丘、栂(とが)、光明池の3地区に16住区が設けられ、高度経済成長期の1967(昭和42)年に街開きした。
65歳以上「38%」の現実
だが、人口は1992(平成4)年、計画人口18万人に迫る約16.5万人に達したあと、減少に転じた。2023年末は約11万人(33%減)。その結果、住宅戸数の約半数を占める公営賃貸は空き部屋が続出している。住民の高齢化も深刻。泉北ニュータウン全体で65歳以上の高齢者が全人口の
「37.5%」
を占める。竹城台など5住区は過疎地域並みの40%を超えた。
団地の1階などに設けられた商業スペースは店舗撤退が続き、建物自体が取り壊されたところも。泉北ニュータウン内は路線バスが走るが、起伏の多い丘陵地帯はバス停留所までの短い移動も高齢者に負担が大きい。移動販売が命綱の高齢者も増える一方だ。
茶山台で暮らす70代の女性は、
「子どもたちが就職してから夫婦ふたり暮らし。近所もよく似た状況で、ニュータウンが老人ホームになった」
北摂の千里ニュータウン(大阪府吹田市、豊中市)のように人口減少を克服した事例もあるが、あくまで例外。泉北ニュータウンは大多数のニュータウンと同様に人口減少と高齢化の波に飲み込まれている。