SuicaやPASMOの「二の舞」に? 最近「交通系アプリ」が地域ばらばらに乱立しているワケ

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さまざまな交通機関を束ねる便利なMaaSアプリが、全国各地で乱立している。地域ごとにばらばらなツールが登場している理由は何か。今後の展望と併せて解説する。

3. 経産省と国交省も政策として進めた

交通機関を利用する人々のイメージ(画像:写真AC)
交通機関を利用する人々のイメージ(画像:写真AC)

 MaaS先進国フィンランドは、官民連携でデジタル活用を推進し、地域のあるべき姿を描きながら、クルマに頼らないシェアリングエコノミーのモビリティサービスを組み合わせて、新たなライフスタイルを提案するという政策の手法も打ち出した。

 これは、日本の政策にも大きな影響を与えた。

 経済産業省は、2030年の来るCASE時代にMaaSが自動運転のベースになると期待している(トヨタ自動車が「my route」を推進するのもこのためだ)。

 また国土交通省は、住民への強制的な行動変容を求めず、気持ちよく環境にやさしいシェアリングサービスに移行してもらえるという期待や、デジタル化の推進にも役立つとして共感している。

 2018年度、経産省が「IoTやAIが可能とする新しいモビリティサービスに関する研究会」を、また国交省は総合政策局・道路局・都市局の3局が連携して「都市と地方の新たなモビリティ懇談会」の検討会を、それぞれ開き、国としての整理を行った。

 さらに両省が連携して「スマートモビリティチャレンジ」事業を立ち上げ、2019年度には28の支援対象地域・事業を選定。2020年度には38支援対象地域・事業を選定するなど、この事業は今も継続している。

 多くの自治体は財政が厳しく、新たな施策を打ち出すためには、国の補助金頼みになる。検討会に基づき新たな予算が決まることなどを背景に、地域独自のMaaSアプリが検討されていった。

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