住民一体! 福島ロボットテストフィールド「実証実験の聖地」ぶり 初のエキスポ開催
福島・浜通り地域における復興のひとつの目玉として整備された「福島ロボットテストフィールド」で、初のエキスポが開催。ロボットの実証施設として世界でも類を見ない充実ぶりであるだけでなく、地元の期待と思いもひしひしと感じられた。
国家プロジェクトで整備されたロボットテスト場で初のエキスポ
2021年3月18日(木)と19日(金)の両日、福島県南相馬市と浪江町に所在する「福島ロボットテストフィールド」で初となる大規模な実演展示会「ロボテスEXPO 2021」が開催された。
福島ロボットテストフィールドは、2011(平成23)年に発生した東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故によって喪失した、福島県の浜通り地域などの産業基盤を新たに創出する国家プロジェクト「福島イノベーション・コースト構想」に基づいて整備され、2020年9月から運用が開始された。陸・海・空のフィールドロボットの開発実証拠点だ。
地方の振興と新産業の創出を目的とする研究開発拠点は全国各地に点在しているが、福島ロボットテストフィールドは研究開発だけでなく、実際の運用環境に近い試験施設を併設している点が大きな特徴となっている。
福島ロボットテストフィールドの敷地には、UAV(無人航空機)の飛行試験に使用する長さ500mの滑走路や、UUV(水中無人機)、USV(水上無人機)の試験に使用する幅30m、深さ7mの大水槽などに加えて、ロボットの活用が期待されているインフラ点検の実証試験が行える試験用の橋梁やトンネルなども設置されている。筆者(竹内 修:航空ジャーナリスト)の知る限りにおいて、こうした施設は世界でも類を見ない。
もちろんロボットの展示会は日本各地で開催されているが、ロボテスEXPOはこれらの充実した施設を利用して、UAVやUUV、UGV(無人車両)などのデモンストレーションが行われた。このような展示会は世界的に見ても珍しく、地方では成功しにくい産業展示会を成功させるための、モデルケースになり得るのではないかと筆者は感じた。