住民一体! 福島ロボットテストフィールド「実証実験の聖地」ぶり 初のエキスポ開催
福島・浜通り地域における復興のひとつの目玉として整備された「福島ロボットテストフィールド」で、初のエキスポが開催。ロボットの実証施設として世界でも類を見ない充実ぶりであるだけでなく、地元の期待と思いもひしひしと感じられた。
「災害を受けた街」再現エリアも 背景に苦い経験
テストフィールド内には、大規模災害時の情報収集や人命救助などにロボットをどう活用するかを試験するための「災害対応エリア」が設けられている。ここには住宅や道路などが設置された市街地フィールド、泥濘地や陥没や亀裂、土砂による傾斜を再現した瓦礫・土砂フィールド、さらには平時だけでなく災害時も想定した実証試験や訓練ができる試験用プラントまである。
東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故では、ロボットの活用が期待されたものの、必ずしも期待通りの活用ができたわけではなかった。その苦い経験を生かして、単なる産業拠点ではなく、防災・減災のための拠点という側面を持っていることも、福島ロボットテストフィールドの大きな特徴のひとつと言えるだろう。
ロボットに限らず、新たな技術を開発するためにはある程度の失敗はつきもので、その失敗の原因を突き止めて改良を施すことで実用に耐える技術が完成するものだが、日本では事故などが発生した際、必要以上に責任を追及したり、新たな技術を開発するための試験自体を不安視したりする傾向があり、それが新たな技術開発の足かせとなっている。
福島ロボットテストフィールドは、たとえば飛行ロボットは離陸後すぐ海に出られる滑走路を浪江町に設けるなど、安全性を重視した施設であることに加えて、前述した震災と原発事故の苦い経験もあってのことか、地域住民の理解と期待が大きいと感じた。それは充実した施設以上に、福島ロボットテストフィールドのアドバンテージになるのではないだろうか。