JR東社長「ローカル線→バス転換、経費負担は30年」発言から考える、公共交通の本来あるべき姿とは? 路線維持の是非は主題ではない!
JR東日本・深沢祐二社長の、ローカル線バス転換に関する発言が話題を呼んでいる。その背景ににあるものとは。
『朝日新聞』で発言
JRの経費負担は30年をめどとする――。JR東日本・深沢祐二社長の、ローカル線バス転換に関する発言が話題を呼んでいる。各地で賛否を呼んでいるローカル線の廃止問題だが、今後の議論にどんな波紋をもたらすのか。
深沢社長の発言は『朝日新聞』10月9日付朝刊のインタビューで出た。具体的な内容は、次のとおりだ。
「深沢社長は、一定の期間ごとに負担のあり方を検討する必要があるとし、「例えば10年や20年といった一定のわかりやすい期間だと思う。ただ、30年以上は無理。それ以上責任は持てない」と述べた」
JR東日本は2022年7月、利用者の少ないローカル線の収支状況を公表している。この資料によると、1kmあたりの1日平均旅客輸送人員(輸送密度)が「2000人未満」の35路線はすべて赤字だった。
これを受けて、JR東日本は沿線自治体と折衝を始めている。10月4日に開かれた定例記者会見で、深沢社長は自治体名を明らかにしなかったものの、自治体に出向いて説明をしていることを明らかにし、今後についての具体的な議論は行わず
「現状について理解をいただく」
と発言した。
自治体の動きもさまざまだ。岩手県では、既に深沢社長が宮古市、西和賀町などを訪問したことが明らかになっている。県議会は廃止が危惧される沿線自治体とともに、国やJRに路線維持を要請。利用促進策を協議するため、連携組織の設置を進めている。