久留里線の年間収入わずか「100万円」の衝撃! ほのぼの路線の維持に必要なのは労働争議か、住民目線の妙案か

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木更津駅から上総亀山駅までを結ぶ久留里線の年間収入が話題だ。なんとわずか100万円。その背景には何があるのか。また復興策はあるのか。

2015年も違う意味で話題に

久留里線(画像:写真AC)
久留里線(画像:写真AC)

 JR東日本が7月に公表した赤字路線の収支で話題になったのが、千葉県の久留里線だ。2020年度の年間収入はなんとわずか100万円(久留里~上総亀山間)。同社によれば、2019年の久留里線の久留里~上総亀山間の乗客数は1日あたり85人と、なんとも寂しいものとなっている。

 JR発足直後の1987(昭和62)年と比較すると、1日あたりの乗客数は

「90%」

も減っている。それを表すエピソードとして知られるのが、2015年に君津市内で久留里線の列車が線路を横切った鹿をはねて停車したことだった。上下2本が運休となり、

「ふたりに影響が出た」

として、違う意味で話題になった。2本運休したにもかかわらず影響はたったふたり――まさに「誰が乗っているの?」な鉄道だ。

 久留里線は、千葉県木更津市の木更津駅から同県君津市の上総亀山駅までを結ぶ32.2kmの路線で、千葉県内では唯一の非電化路線である。もともと、1912(大正元)年に千葉県営鉄道として開業した。

 その後、木原線(現・いすみ鉄道いすみ線)と接続。房総東線(現・外房線)の大原駅まで結ぶ計画が持ち上がり、1923年には鉄道省に譲渡されたが、計画は実現しなかった。

 以後、乗客数は伸びなかったものの1968(昭和43)年の赤字ローカル線廃止勧告の際も、「将来性がある」とされ対象にならなかった。しかし、その後も乗客数は増えることなく、一貫して閑散路線として続いている。

 といっても、久留里線はよくニュースになっていた。2009(平成21)年まで、毎年ストライキで運休していたためだ。国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)は、毎年春闘の時期になるとストライキを行っていた。JR側は総武線など、乗客の多い路線での運休を避けるため、動労千葉の組合員を久留里線に集中的に配置していた。ストライキで列車が走らなくても、影響を最小限にすることを狙っていたのだ。

 平成後期になると、久留里線のストライキはもはや

「春の風物詩」

となっていた。

 ちなみに、動労千葉はかねてより久留里線のワンマン運転によるサービス低下を問題視しており、JR東日本の赤字収支公表を

「悪意に満ちた宣伝」
「仕組まれた廃線化」

と批判している。沿線のほのぼのとした光景と比べて、実に対照的だ。