火災・地震は大丈夫なの? いま東京で「駅舎の木質化」が急増しつつあるワケ

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戸越銀座駅を皮切りに、近年、木質化する駅舎が増えている。その背景にはいったい何があるのか。

近年注目される池上線

小田急の参宮橋駅も駅舎の柱や床、壁などを木質化(画像:小川裕夫)
小田急の参宮橋駅も駅舎の柱や床、壁などを木質化(画像:小川裕夫)

 2021年末、東急電鉄は池上線の長原駅(東京都大田区)をリニューアルした。池上線は品川区の五反田駅と大田区の蒲田駅を結ぶ約10.9kmの路線だ。

 東急は、東京圏の私鉄のなかでも積極的に沿線開発に取り組んだことでも知られる。その成果もあり、特に東横線・田園都市線の沿線は高度経済成長期に人気が急上昇した。現在も人気の高いハイブランドの街が沿線に連なる。

 そうした東急線の路線のなかで、池上線は特殊な位置付けにある。東急は沿線開発リソースを東横線・田園都市線に集中させてきたが、近年は都心部に近い池上線にも傾注している。

 東急は“木になるリニューアル”との方針を打ち出して、池上線の各駅を木質化する取り組みを開始した。その第1弾となったのが2016年にリニューアルした戸越銀座駅で、同駅には木がふんだんに使われた。

 従来、木造建築は寺社建築などをはじめとする歴史遺産や戸建て住宅が主流だった。高度経済成長期以降の日本では、商業施設や駅舎といった不特定多数の人が利用する建物は鉄筋コンクリートもしくは鉄骨で造られることが一般的になっていた。

 それは防火・耐震の観点から安全性を確保することが重要視されていたことが理由だが、近年は製材・施工などの技術開発が格段に進歩し、木造でも耐震性・耐火性が必ずしも劣っているとは限らない。