火災・地震は大丈夫なの? いま東京で「駅舎の木質化」が急増しつつあるワケ
戸越銀座駅を皮切りに、近年、木質化する駅舎が増えている。その背景にはいったい何があるのか。
変化する「木」への常識

そうした木の可能性に注目する事業者も増え、2013年には神奈川県横浜市に4階建ての複合商業施設「サウスウッド」がオープンしている。同施設は業界では大きな注目を集めることになったが、いまだ一般邸な木造のイメージは変わっているとは言い難い。
2014年には建築基準法が改正され、耐火・耐震を満たせば木造でも「14層」まで高層建築が理論上で可能になった。14階ではなく14層という表現はわかりにくいが、要するに15階建てのビルなら1階を鉄筋コンクリート造り、2階から15階までを木造で建設することができるということだ。
スーパーゼネコンの竹中工務店は、耐火集成木材「燃エンウッド」を開発。同社は、三井不動産が2025年に完成を予定している東京・日本橋のオフィスビルを木造で建設すると表明。竹中工務店・三井不動産が手がけるオフィスビルは、地上17階・高さ約70mというもので、このビルがお目見えすれば「木」に対する常識が大きく変わることは間違いない。
技術の向上だけではなく、行政も木材の使用を推奨するようになっている。菅直人内閣は2010(平成22)年に公共建築物等木材利用促進法を制定。庁舎をはじめとする公共施設に木材を積極的に使うように呼びかけている。同法によって、木造の機運は高まった。
こうした法律を制定してまで木材の活用を推奨するには、大きな理由がある。日本の国土は約7割が森林とされているが、他方で森林資源は戦後から長らく有効的に活用されてこなかった。これら森林資源を有効的に活用することは、日本の産業振興・経済成長にもつながる。
木を使う機運は、鉄道業界をも動かした。冒頭で触れた池上線の戸越銀座駅を皮切りに、東急は2019年には旗の台駅を、2021年には池上駅を木質化している。