火災・地震は大丈夫なの? いま東京で「駅舎の木質化」が急増しつつあるワケ

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戸越銀座駅を皮切りに、近年、木質化する駅舎が増えている。その背景にはいったい何があるのか。

鉄道各社が参加

京王電鉄の高尾山口駅(画像:(C)Google)
京王電鉄の高尾山口駅(画像:(C)Google)

 一般的に、躯体(くたい。建築物全体を構造的に支える骨組み部分)に木を使う建物は木造と呼ばれてきた。建物には躯体のほかにも床や壁などがあり、そうした部分や内装材に木を使うことが好まれるようになっている。

 また、住宅なら浴槽・階段の手すりといった設備面で木の活用が考えられるが、駅舎でも同じような部分で木に活用できる。また、イス・テーブル・棚といった什具(じゅうぐ。日常使う道具や家具)を木製にすることも考えられるだろう。

 建物全体を木にするのではなく、木を使う部分を増やす。そうした傾向は強まっている。そうした潮流を受け、最近は木造ではなく、「木質化」という概念が提唱されるようになっている。

 駅舎に木を使う潮流も、この木質化を意識したものと言える。しかし、木を使う機運が高まった2020年前後、全世界的に木材価格が高騰した。これらはウッドショックと呼ばれる現象で、一時的に木質化の機運にブレーキがかかってしまった。

 東京の多摩では戦後復興期に盛んに植林が進められたこともあり、外国からの輸入に頼らなくても建材に使用できる木は豊富にある。

 また、駅舎に木を使うようになっているのは、東急だけではない。2015年には京王電鉄が高尾山口駅の駅舎を木質化する形でリニューアルした。小田急電鉄も2020年に参宮橋駅を木質化している。

 ウッドショックによる影響で、駅舎木質化は見通しが立てづらくなっている。とはいえ、鉄道で木を使うトレンドが全体的に強まっているので、今後も木のぬくもりを感じさせる駅舎が増えていくことは間違いないだろう。

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