「自宅にいながら船を操縦」 船員不足に悩む海運業界に差し込んだ「自動運航船」という名の光

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輸出入の99%超を海運に頼っている日本。そんななか、注目されているのが自動運航だ。いったいどのようなメリットがあるのだろうか。

人手不足はトラックだけではない

入港するコンテナ船(画像:写真AC)
入港するコンテナ船(画像:写真AC)

 物流現場の人手不足というと、トラックドライバーをイメージする人が多いのではないだろうか。確かに、トラックドライバーは1995(平成7)年頃をピークに減少しており、このまま放置すると2030年には約3割のモノが運べなくなるとの予測もある。

 今まで猶予されていた時間外労働の上限規制がトラックドライバーにも適用されるという「2024年問題」も存在する。昨今の物価高の一因に、トラックの運賃上昇があることを考えても、最も身近な人手不足の例といってよいだろう。

 実のところ、物流現場には人手不足が顕著な仕事がもうひとつある。それは

「船員」

である。

 日本国内の港と港を結ぶ内航海運の船員は、原則「日本人」に限定されていることもあって、トラックドライバーと同様、人手不足は深刻だ。トラックドライバーは50歳以上の割合が5割近くになりつつあるが、内航海運のそれは既に5割を超えている。近年、若年層の雇用を強化しているとはいえ、トラックより先にモノが運べなくなる可能性もある。

「物流といえばトラック」というイメージを持っている人もいるだろう。だが、海運は日本国内での輸送量の40%を占める。55%を占めるトラックに比べれば相対的に小さいが、人手不足により船を動かせなくなったとすれば、日本経済に多大な影響を及ぼすはずである。

 日本と世界をつなぐ外航海運の船員は日本人に限定されていない。実際、外国籍の船員が9割以上を占める。それゆえ、日本国内での人手不足の影響は受けないが、今後日本の経済力が低下したとき、果たして外国籍の船員を確保し続けられるだろうか。

 島国である日本は、輸出入の

「99%超」

を海運に頼っている。つまり、外航海運の船員を確保できなくなった瞬間、社会生活を継続するためのライフラインを失するのである。

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