ローカル線を再活用? 三重県・四日市で注目の「歩行者優先まちづくり」、地方都市の郊外化を止められるか
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「ウォーカブルシティ」とは何か
国土交通省は2020年から“まちなかウォーカブル推進事業”を事業化し、本格的に地方自治体と連携した都市再生を目指している。“ウォーカブル”とは聞きなれない言葉だが、これは「歩く」を意味する英語のwalkと、「可能な」を意味するableを組み合わせた造語で、平たく表現すれば歩行者優先のまちづくりということになるだろうか。
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ウォーカブルシティといった造語だけではイメージしにくいが、具体的な取り組みとしては、
・駅前広場のエリアを広くして憩える空間作成
・空き地の活用
・駅前広場などの芝生化
・歩行者が歩きやすいような歩道の拡幅
・自動車が通行できる時間帯を制限した歩行者天国の導入
といった施策があげられる。
なぜ、国土交通省はウォーカブルシティという政策を推進することを打ち出したのか。それは、日本の人口減少が加速しているとともに出生率が上昇する兆しがなく、このままでは地方都市が機能しなくなる懸念が強くなっていることが背景にある。地方都市が機能を停止すれば、それは大都市圏にも及ぶだろう。
その対策として、中心市街地の活性化につながるウォーカブルシティという政策が打ち出されたわけだが、どうにも行政ばかりが熱心で、肝心の市民の間に浸透しているとは言い難い。行政が市民を巻き込んで盛り上げようとする動きは見られるものの、まさに「笛吹けども踊らず」の様相を呈している。
筆者(小川裕夫、フリーランスライター)は行政関係を取材テーマにしているので、地方自治体の職員や外郭団体から話を聞く機会が豊富にある。しかし、彼らからウォーカブルシティが成功している or 順調に進んでいるという話は耳にしない。
ウォーカブルシティという概念は新しいから、まだ浸透していないだけなのか。それは違う。そもそも国土交通省が掲げるウォーカブルな都市を目指せるのは、東京・大阪のような公共交通機関が充実している大都市ぐらいなのだ。
地方都市は郊外に大型ショッピングモールが次々と生まれている。これらショッピングモールは生活インフラとなっているから、毎週のように自動車で買い物へ行く。週末にはレジャーを兼ねて家族で出掛ける人も珍しくないだろう。こうしたライフスタイルができあがっているのに、いまさら“街を歩く”などと行政に言われても非現実的なのだ。