「体力も気力も続かない」 定額乗り放題サービス「mobi」のドライバーから寄せられる悲痛な声、AIが蝕む最適化され過ぎた現状とは

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KDDIとWILLERの合弁会社Community Mobilityが提供する乗り放題サービス「mobi」がその利便性から話題となっている。しかしその一方、既存のバス事業者、タクシー事業者は激しく反対している。いったいなぜか。

理論的な「最適化」の落とし穴

高速処理されるプログラムのイメージ(画像:写真AC)
高速処理されるプログラムのイメージ(画像:写真AC)

 ここが、労働管理にAIを使う際の問題となる。

「理論的には最適化がなされても、人間の能力(これにはその時々の体調管理も含まれる)が対応できるか」

ということだ。

 もちろん、こうした観点を織り込んだAIの開発が今後進められることが展望されるが、残念ながら現在はそうなっていない。その点、既存のバス事業やタクシー事業では、運行管理士が毎日、ドライバーの体調などを鑑みながら、無理のないように乗務できるような体勢をとっている(もちろん、この体制が有効に機能せず、悲惨な事故が起きてきたことも否定できない事実ではあるが)。

 もしこうした問題性が残ったまま、mobiのような事業が一斉に展開されていくなら、過労ドライバーによる事故の発生を誘発するだろう。また、こうした労働環境の厳しさが、口コミなどでドライバー間で知られることによって、優秀なドライバーを雇用できなくなり、より厳しい労働環境でサービスを提供していかざるを得なくなる。

 その先にはmobi的事業の持続性が損なわれるとともに、既存のバス事業やタクシー事業も衰退し、特に地方で

「公共交通手段は何も残らない」

という悲惨な状況が待っている。

 筆者(戸崎肇、経済学者)は、新しい試みを評価しながらも問題性を冷静に見据え、その解消に努めると同時に、既存のバス事業、タクシー事業の社会的重要性を再評価し、その強化に向けた社会的救済を早急に行うことの合意形成を急ぐべきであると考える。

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