ネットで話題 石破茂「ローカル線廃止は無責任」発言の真意とは? 親子二代を貫く地方インフラへの情熱をひも解く
過去には「ローカル鉄道は旅」発言も

二朗氏が接戦を制して4期にわたって県政を続けられたのは、建設次官を務め、道路整備に並々ならぬ情熱を傾けたからだ。
中でも整備が進んだのが、山陰の幹線である国道9号線だ。昭和40年代まで日本の道路は、国道とはいえどガタガタだったが、当時すでに「鳥取県に入った途端、舗装された道路になっている」といわれたほどだった。
すべては二朗氏のおかげだった。なにしろ県知事だった頃には、建設省から役人が9人も鳥取県庁に出向していたため
「建設省鳥取地方建設局」
と陰口をたたく者もいた。
もともと、建設省は「オレ、おまえ」の人間関係がものをいう組織だった、その組織を知り尽くした二朗氏は、有能な人材に目をつけ、鳥取県を事業の優先順位の上に置かせることにたけていた。
その後を継いだ石破氏は、慶応大学を卒業後に国鉄に入ろうと思ったくらいの鉄道マニアだった。筆者(昼間たかし、ルポライター)は以前、大学近くの「客はほぼ100%慶応大生」いう居酒屋を取材したとき、石破氏が今でも店に顔を出すと聞いたことがある。物事を成すにはまず人間関係――という二朗氏の教えが、石破氏に受け継がれているのかもしれないと感じた。
さて、冒頭の「(地方路線が)赤字だからやめちゃえというのは無責任」発言だが、よくある鉄道マニアのノスタルジックな議論とは異なる。そもそも、石破氏が地方路線廃止に対して否定的な思いを発するのは、これが初めてではない。
2016年には、鳥取県を走る若桜(わかさ)鉄道の山田和昭社長(当時)の出版記念イベントで
「ローカル鉄道は移動ではなく旅。鉄道が廃れて繁栄したところはひとつもない。残すために政治もいろいろやるが、残そうと思う人が増えることが大切」
とも発言している。
つまり、石破氏の今回の発言背景には、
「地域経済を維持する」
ための交通インフラの重要性があるといえるのだ。