日韓路線、遅れる運航再開 隣国なのにほかと違う「特殊事情」とは

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日韓路線は日本各地から多くの便があったが、コロナ禍の現在、以前の数にはまだ及ばない。両国の間にはやや特殊な事情も少なからず影響している。

コロナ前は多くの運航便があった

日韓路線が最も多かった時期の関西空港。2017年6月撮影(画像:シカマアキ)
日韓路線が最も多かった時期の関西空港。2017年6月撮影(画像:シカマアキ)

 日本から最も近い海外の国、韓国。時差はなく、気軽に行ける海外として老若男女問わず人気がある。

 コロナ以前、日韓路線は大手航空会社と格安航空会社(LCC)で、地方を含む日本各地から多くの便があった。だが、コロナ禍で大半の便が運休に。2年あまりたち、徐々に再開してきてはいるものの、以前の数にはまだ及ばない。

 運航再開が遅れている最大の理由は、日本の入国規制だ。2022年3月以降、ワクチン接種などを条件に隔離免除、1日の入国者数の上限を増やすなど、規制緩和へ動いている。だが、外国人旅行者に対してはいまだ全面的に「開国」していない。

 しかも、日本と韓国の間には、海外のほかの国・地域と違う、やや特殊な事情も少なからず影響している。

関西空港は1日平均54便もあった

2018年1月の関西空港、大韓航空のチェックインカウンターは長蛇の列だった(画像:シカマアキ)
2018年1月の関西空港、大韓航空のチェックインカウンターは長蛇の列だった(画像:シカマアキ)

 日本政府観光局(JNTO)のデータによると、韓国からの訪日外客数は、新型コロナ前の2019年が約560万人。全世界からは約3190万人で、およそ6人に1人の割合だ。

 この年最も多かったのは、中国からの約960万人で、韓国は2位。その前年2018年が約750万人で最も多く、2017年は約714万人だった。2019年に訪日数が減少した理由は後述する(日本政府観光局 月別・年別統計データ(訪日外国人・出国日本人))。

 コロナ前に日韓路線はどれぐらいあったのか。国土交通省の発表資料によると、2019年夏ダイヤで、次の通りとなっている(韓国の都市路線数/就航航空会社数/週あたりの便数。2往復=1便。ソウルは仁川・金浦合わせて1路線扱い)。

・羽田空港:1路線、5社、週105便
・成田空港:5路線、9社、週240.5便
・関西空港:5路線、9社、週379便
・福岡空港:3路線、8社、週208便
・新千歳空港:4路線、8社、週97便
・那覇空港:3路線、8社、週73便
・中部空港:2路線、5社、週67便
・青森空港:1路線、1社、週3便
・仙台空港:1路線、1社、週7便
・新潟空港:1路線、1社、週3便
・富山空港:1路線、1社、週3便
・小松空港:1路線、1社、週3便
・茨城空港:1路線、1社、週3便
・静岡空港:1路線、1社、週3便
・岡山空港:1路線、1社、週7便
・広島空港:1路線、1社、週3便
・米子空港:1路線、1社、週6便
・高松空港:1路線、1社、週7便
・松山空港:1路線、1社、週3便
・北九州空港:4路線、3社、週25便
・大分空港:3路線、1社、週13便
・佐賀空港:3路線、1社、週15便
・熊本空港:2路線、2社、週10便
・鹿児島空港:1路線、3社、週10便
・宮崎空港:1路線、2社、週6便

 当時最も多かったのが、大阪・関西空港だった。日本と韓国を往復する便が、1日に平均54便もあった。ソウル・仁川空港から午前9~10時台に各社続々と関西空港へ向かっていたのもおなじみの光景だった。東京より近い大阪や、高速船などでも行き来できる福岡が、特に人気が高かった。