「住みたい街ランキング」は本当に正しいのか? 地方の交通網から感じた疑念、そもそも重要視すべき要素は何か
公共交通機関が極めて不十分な両町

府中町は広島県の南西部に位置する、人口は5万2971人(2022年3月時点)の町だ。同町の場合、町内にあるのは山陽本線・呉線の向洋駅のみ。天神川駅(広島市)も近いが、いずれも町域の南端に位置している。ゆえに、町内の交通は自動車とバスが前提となる。
府中町役場のサイトでは、町内へのアクセス方法として、広島駅などからのバス利用をトップに記している。ここでは「天神川駅下車、徒歩10分」とも記されている。これは町の南部にある町役場までの距離で、町の北部へはバスなどの利用を強いられる。
また、自動車でのアクセスは将来も有望だ。現在、町内には山陽自動車道にアクセスできる広島高速道路2号線が通り、府中・矢賀のふたつのインターチェンジを利用できる。現在建設中の広島高速道路5号線が開通すれば、広島駅の北側に直接アクセスすることが可能だ。
早島町は岡山県南中央部に位置する、1万2658人(2022年8月時点)の町だ。町内を走る宇野・瀬戸大橋線の早島駅は一部の快速が停車する駅なので、毎時最小でも2本が走る。快速利用ならば岡山駅までわずか10分の距離だ。ただ、この駅の所在地も町域の南端に位置しており、地域全体で利便性が高いとは言い難い。
一方、高速道路のアクセスは全国でも群を抜く。町内の早島インターチェンジは
・瀬戸中央自動車道
・山陽自動車道
・国道2号線
のクロスポイントとなっている。
瀬戸大橋開通後、早島町はこの好立地を生かして、多くの企業の物流拠点を誘致。その財力を生かして平成の大合併時も岡山・倉敷の両市に加わらなかった。
このように両町とも、自家用車の利用を前提とすれば住みやすさは優れていることは間違いない。しかし、公共交通機関は極めて不十分だ。
特に早島町は、町内に大規模催事場のコンベックス岡山があるものの、アクセスは倉敷市の山陽本線中庄駅のからバスを利用するルートがメインとなっている。早島駅からはバスがない。集客施設に向かうバスがないことは、公共交通機関の乏しさを象徴するものだ。