「GoToトラベル」再開&延期はもうウンザリ! 現場を襲う「キャンセルの嵐」、政府は旅行業界を救う気が本当にあるのか
再開時期がはっきりしない「GoToトラベル」

新型コロナウイルスの感染拡大で、多大な経済的損失を被った旅行業界。これを支援するために立ち上げられたのが「GoToトラベル」事業だった。過去に例を見ない旅行代金の割引率で旅行客のお得感は大きく、国内のいくつかの観光地などは一時的ににぎわった。
しかし、感染拡大とともにGoToトラベルは一時停止。その後何度も再開が取り沙汰されたものの、税金を使った事業に世論の批判も根強く、いまだ再開されていない。
その後、旅行代金を割引する地域を限定した、いわゆる「県民割」「地域ブロック割」が登場した。
例えば、東京都なら都民限定の「もっとTokyo」で、ほかでは近隣の道府県も対象であることが多い。そしてついに、県民割・地域ブロック割の全国版ともいえる「全国旅行支援」が発表された。2022年7月上旬開始予定だったが、感染の再拡大によって当面見合わせられ、少なくとも8月末までは実施されないことが決まっている。
GoToトラベルと全国旅行支援はいずれも国内旅行を対象とし、旅行代金を補助する事業だ。しかし、名称以上に違いが存在する。旅行者はもちろん、旅行業界のなかでも相次ぐ施策に
「振り回されている」
との声も出ている。
県民割から地域ブロック割に、さらに全国旅行支援へ拡大

GoToトラベルは、2020年7月22日に開始した。当初は宿泊代金の割引、同年10月から旅行先での飲食や買い物などで使える地域共通クーポンの発行も始まった。しかし、感染拡大を理由に、同年12月28日にいったん中断した。
実施期間中、高級な宿泊施設に人気が偏り、小さなゲストハウスや地方のホテルなどが恩恵を受けられなかったことなどの問題が出た。このため、新たなGoToトラベルとして、旅行代金の割引率や割引上限を下げ、加えて、平日と休日でクーポンの金額に差を付けて集客の分散化を図るなどの対策が採られた。
一方、GoToトラベル停止中、これに代わる旅行割引施策として「地域観光事業支援」(県民割)が登場した。目的は、四つあるステージのうち、感染が急増する段階でない「2」相当以下の都道府県内の旅行支援だ。2022年4月から近隣県に対象範囲を広げた「地域ブロック割」に拡大された。
GoToトラベルと全国旅行支援、その違いはいくつかある。
大きな違いは、GoToトラベルが全国一律のルールなのに対し、全国旅行支援は都道府県ごとにルールが決められることである。例えば、感染状況などに応じ、事業の停止や対象地域、割引率などが変更できる。わかりやすく言えば全国旅行支援は、全国各地からの旅行者による
「県内旅行」
という位置づけだ。