せとうちMaaS「setowa」好調 周遊パス4月以降も発売 JR西の狙いは
コロナ禍でも好調 「その先」のビジョンとは
神田氏によると、2020年10月から2021年1月における「setowa」のデジタルフリーパス売り上げ枚数は、1日平均で約500枚。緊急事態宣言の影響などがありつつも、前年同期比336%と、実証実験時より着実に増えているという。なお、「setowa」にはアプリ版とウェブ版があるが、会員登録はアプリ7割、ウェブ3割というところ、チケット購入ではアプリが86%を占めるとのこと。
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また、当初は若者の利用を想定したものの、利用客の年齢層は25歳から45歳がボリュームゾーンになっているという。
今後は、観光キャンペーン(DC)に合わせ「setowa」のエリアをさらに拡大するとともに、北陸新幹線の敦賀開業時には、北陸エリアでの展開を目指しているとのこと。さらに、2023年春からのサービス開始が予定されている「モバイルICOCA」や、他のMaaSアプリとも連携し、移動や生活サービスをシームレスに連携させていく構えだ。
神田氏が所属するJR西日本のデジタルソリューション本部は、社内DXを推進する部署として2020年11月に設立され、社長が本部長を兼ねている。非接触化を推進するとともに、日常利用するアプリとの連携を通じ、個人個人にあう「One to Oneマーケティング」を推進しながら収益化を図っていく狙いがある。
こうしたなか、JR西日本は2020年9月、「新常態をサポートするMaaSアプリ」と銘打ち「WESTER」をリリースしているが、神田氏によると「『WESTER』は日常向け、『setowa』は非日常向け」とすみ分けているのだとか。観光型MaaSアプリである「setowa」は、日常から非日常へいざなう役割、すなわち「駅のポスターや看板を見て、瀬戸内に行きたくなるのと同じ動き」を果たすそうだ。
ちなみに、勉強会後半の質疑応答では、「MaaSは本当に収益になるのか」といった質問も寄せられた。これに対しナビタイムジャパンのMaaS事業部長 森 雄大氏は、「『何のためにやるのか』が全て。届けたい価値があって、MaaSという手段に落ちてきている。『MaaSありき』では順序が逆になる」と話した。