「開かずの踏切」廃止だけじゃない! 竹ノ塚駅の「高架化」が地元で大きな期待を背負う理由とは
廃止された開かずの踏切

2022年3月20日、東武鉄道竹ノ塚駅の高架化工事が完了した。これにより、長年の懸案だった開かずの踏切が廃止された。
同踏切は遮断時間が長いことから、踏切警手とも呼ばれる踏切保安係が配置されていた。踏切警手は踏切の操作や安全を確保することが目的にしてきたが、2005(平成17)年に死傷者を出す事故が発生する。
事故は、通行人が長い遮断時間に腹を立て、踏切警手に罵声を飛ばしたことに起因とする。罵声に恐怖を感じた警手は、安全確認を怠ったまま踏切を開けてしまった。遮断桿(かん)が上がったため、待機していた歩行者は踏切を渡り始めた。
歩行者のなかには、歩行がおぼつかない高齢者もいた。当然ながら歩行スピードは遅く、踏切を渡り切るのには時間がかかる。高齢者が踏切を渡り切る前に電車が進入、事故が発生した。
事故が起きる以前から、竹ノ塚駅の踏切は危険との認識は強かった。同事故を受け、改めて行政・東武鉄道は竹ノ塚駅の踏切を問題視するようになる。
そして、足立区が主導する形で立体交差化と踏切の廃止が進められていった。足立区は竹ノ塚駅の立体交差化に関して、前後の約1.7kmを高架化する計画を策定。高架化により、駅南北のふたつの踏切を除去するとした。
死傷事故の現場となった駅南側にあった踏切は、地域住民から “大踏切”と呼ばれていた。この踏切のほか、駅北側にも“小踏切”と通称される開かずの踏切があり、こちらも地域住民から開かずの踏切として知られていた。2012年に着工した立体交差化工事では両方の踏切が廃止され、約10年の歳月をかけて高架化工事は完了する。
事故が起きた “大踏切”は、赤山街道と呼ばれる交通量の多い幹線を分断していた。それだけに、事故の防止という安全面での効果だけではなく、付近の交通渋滞を緩和するといった効果も期待されている。