「開かずの踏切」廃止だけじゃない! 竹ノ塚駅の「高架化」が地元で大きな期待を背負う理由とは

キーワード :
, ,
3月、東武鉄道竹ノ塚駅の高架化工事が完了し、開かずの踏切が廃止された。今後、竹ノ塚駅エリアはどうのように発展していくのだろうか。

「23区ワーストワン」という汚名

竹ノ塚駅(画像:(C)Google)
竹ノ塚駅(画像:(C)Google)

 踏切は高架化によって廃止されたわけだが、高架化工事の過程では踏切の除去と同時に竹ノ塚駅の駅舎改築にも着手している。高架への切り替えと同時にホームなどが新しくなったが、使用を停止している旧駅舎は残ったままだ。

 竹ノ塚駅は東口と西口があり、主に表玄関としての機能を果たしているのはロータリーが形成されている東口となっている。高架化工事が完了した2022年3月、

・足立区
・東武鉄道
・都市再生機構(UR)

の3者が協定を結び、駅周辺のまちづくりに関する協定を締結。3者によるまちづくりの協力体制を打ち出したが、本来なら同協定のような地域開発は高架工事と同時進行で進められる。

 なぜなら、竹ノ塚駅東口は駅ロータリーを取り囲むようにURの住棟が並んでおり、線路を高架化する際、駅からURの建物と直結するペデストリアンデッキなどを設けるといった案も考えられる。その場合、高架化に合わせて駅を設計する必要があるからだ。

 足立区は竹ノ塚駅の高架化に合わせてエリアデザイン計画を策定したが、同計画は30年程度の将来を見越した内容をイメージしていた。しかし、URから具体的な計画が示されなかったこともあり、方針を一時的に変更することになった。

 その間、足立区は竹ノ塚駅周辺の将来像や土地活用方針などは示さないとし、体感治安(人々が日常生活の中で感じる治安)の改善を先に取り組むとした。

 この体感治安の改善は足立区にとって長年にわたる課題で、竹ノ塚駅周辺に限定した試作ではない。足立区は刑法犯認知件数が多いことから、旧来治安が悪いとのイメージが根強くあった。

 それらの多くは放置自転車の盗難などで、決して凶悪犯罪が多いわけではない。それでも足立区は刑法犯認知件数が

「23区ワーストワン」

という汚名を返上するべく、ビューティフル・ウインドーズ運動という施策を打ち出した。

 足立区が打ち出したビューティフル・ウインドーズ運動は、アメリカのニューヨークで実践された「ブロークン・ウインドー(壊れ窓)理論」を模範とするもので、行政が町内会・商店会などと連携して防犯パトロールに乗り出すといった防犯対策、歩行喫煙禁止の徹底、駅前広場や公園などの清掃、公共空間の緑化に力を入れる運動のことをいう。

 その運動は歳月とともに数字にも表れ、刑法犯の認知件数は23区ワーストワンから脱した。ビューティフル・ウインドーズ運動により、近年は北千住駅が住みたい街ランキングで人気になるといった現象も起きている。