未来の「鮮魚列車」になれるか? 国交省「貨物新幹線」検討、その前に立ちふさがる3つの難題

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国土交通省の「今後の鉄道物流のあり方に関する検討会」の中間取りまとめ案で、新幹線に貨物専用車両の導入を検討することが明記された。今後の展望とは?

加速する生鮮品の輸送事業

「はこビュン」のポスター(画像:JR東日本)
「はこビュン」のポスター(画像:JR東日本)

 JR北海道の事例を見ると、2021年3月から佐川急便と共同で宅配便荷物の輸送事業を、4月からJR東日本と連携した生鮮品等輸送事業を実施している。

 前者は、新函館北斗~新青森間で、平日上り列車1本を使って実施。新函館北斗駅で担当者が持ち込んだ宅配便荷物入りの専用ボックスを客席に積載。新青森駅で列車から降ろし、納品先へ輸送する。輸送量は多くないが、配達までの時間が短縮され、翌日午前中の配達が可能だ。

 ただ、需要が伸びているのは後者だ。新函館北斗駅~東京駅間の上りはやぶさ2本を使って、鮮魚と駅弁を輸送。こちらは、商品を業務室内の空きスペースに積み込み、東京駅で降ろし、駅構内の店舗や首都圏の飲食店へ運んでいる。サービス開始の4月時点で、ひと月あたりスポット輸送96箱、定期輸送114箱だったが、9月には

・スポット輸送:128箱
・定期輸送:398箱

と順調な伸びを見せている。

 この結果を受けて、ジェイアール東日本物流(東京都墨田区)では個人向けの新幹線荷物輸送サービス「はこビュン」を展開し、需要の開拓に乗り出している。これは東京駅と仙台駅・新潟駅間で持ち込んだ荷物を、当日中に輸送するというものだ。

 JR西日本でも2021年11月から、新幹線さくらを使って新聞の定期輸送や、山陰産のカニや九州産の農産物の輸送に乗り出している。実績はまだ多くないが、コロナ禍で減収が続く中で、各社は新幹線による貨物輸送を有望な存在として見ている。