未来の「鮮魚列車」になれるか? 国交省「貨物新幹線」検討、その前に立ちふさがる3つの難題

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国土交通省の「今後の鉄道物流のあり方に関する検討会」の中間取りまとめ案で、新幹線に貨物専用車両の導入を検討することが明記された。今後の展望とは?

「鮮魚列車」の進化形?

鮮魚列車3代目。俊徳道駅。2001年撮影(画像:近畿日本鉄道)
鮮魚列車3代目。俊徳道駅。2001年撮影(画像:近畿日本鉄道)

 もちろん、解決すべき課題はある。それは大量輸送を実施する

・車両の開発
・積み替え技術の開発
・施設の整備

だ。

 現在は輸送量が多くないため、旅客用ホームから客席や業務室へ積み込めるが、輸送量が増加すればこうはいかない。専用施設も、荷物を集配するトラックが集まる施設も必要になる。新幹線貨物駅を新たにつくると壮大な計画になるため、現状の駅を改良した整備を検討しなければならない。

 ただ、新幹線での輸送がうまくいけば、在来線の旅客列車を使った輸送も導入される可能性がある。いわば、かつて存在した「鮮魚列車」の進化形だ。

 JR東海は2021年8月、在来線特急で、青果を高山駅から名古屋駅まで運ぶ実験を行っている。旅客列車による輸送といえば、これまでJR東海飯田線で行われている新聞輸送など、交通事情のよくない地域で行われており、一方で懐かしい風景だった。これが最先端の輸送手段へと変化しつつあるのだ。

 ちなみに、貨物新幹線の構想そのものは新しくない。JR北海道では2004(平成16)年、「貨物列車及び列車搬入搬出方法」として、関連技術の特許を取得。その後「トレイン・オン・トレイン」と名付けて試作車を製造。在来線の貨物車両を積み込み、時速200km走行できるという触れ込みだった。もともとは北海道新幹線開通後、貨物列車と共用される青函トンネルのボトルネック解消を目的と開発されていたが、さらに大きな可能性を持つことになるかもしれない。

 また、資料は残されていないが、品川区の東京貨物ターミナルは1973(昭和48)年に開業した際、貨物新幹線導入を前提に設計されていたともいわれている。

 そんな貨物新幹線だが、今後のカギとなるのは、車両と設備の問題をいかにクリアできるか、これに尽きるだろう。

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