中国進出企業、過去10年で最小の「1万2000社」 約4割は製造業、自動車関連業種が上位に

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帝国データバンクは7月22日、日本企業の「中国進出」動向調査の結果を発表した。調査によると、中国(香港・マカオ両特別行政区を除く)に進出する日本企業は、2022年6月時点で1万2706社判明した。

供給網の脱「中国依存」進む可能性も

北京の街並み(画像:写真AC)
北京の街並み(画像:写真AC)

 帝国データバンクは今回の発表に際し、

「中国による「ゼロコロナ政策」により、中国最大級の経済都市である上海市をはじめ各都市がロックダウン(都市封鎖)された影響で、日本企業の現地生産や物流に大きな打撃をもたらした。帝国データバンクが今年5月に実施した調査でも、日本企業約1700社を対象に上海ロックダウンが及ぼす企業活動への影響を調査した結果、中国に進出している86社のうち計86%の企業が「マイナスの影響がある」と回答した。企業からは「中国からの仕入れ(輸入)に影響が多大」「上海での操業が1カ月以上停止し、多大な損失が出ている」など、ロックダウンが企業活動に悪影響を及ぼしているとの声が多くあがった。また、「長期の外出制限で駐在員の心身共に疲弊している」など、現地従業員の健康にも悪影響が及んでいるとの指摘も見られた。

こうしたチャイナリスクに対し、日本企業を含めた外資企業では拠点が集中していた中国からの脱依存を進める動きが見られる。欧州連合(EU)商工会議所が4月下旬に実施したアンケート調査では、23%が中国からの撤退や投資先の見直しを検討、8割弱が投資先として「魅力が落ちた」と回答した。在中米商工会議所が5月初旬にかけて実施した調査でも、約5割で対中投資を「減らす」「先延ばしする」と回答。日本企業でも同様の動きが見られ、中国・上海市に進出する日本企業の計14%が今後の中国投資を「縮小・延期する」との調査結果を上海日本商工クラブがまとめた。既に一部の日本企業では、中国での生産比率を引き下げ、中国から輸出する製品については日本やベトナムなどで生産する体制に切り替える動きもある。

日本と巨大市場を抱える中国との間では、多種多様な業種で強固かつ複雑なサプライチェーンが構築されてきたことから、即座に中国と関係を絶つことは企業にとって負担が大きい。ただ、予見性に乏しい中国当局のゼロコロナ政策に対し、中国に拠点を持つ日本企業では不満や不信感が高まっている様子も見られ、今後は「チャイナプラスワン」に向けた調達戦略がより進んでいく可能性が高まっている」

とのコメントを寄せている。

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