多発する電動キックボードの「飲酒運転」 もはやアルコールチェック義務化しか道はないのか? はたまたユーザーの良心を信じるべきか

キーワード :
,
電動キックボードの飲酒運転が多発している。これを防ぐ最善策とは。

多発する電動キックボードの飲酒運転

電動キックボード(画像:写真AC)
電動キックボード(画像:写真AC)

 7月4日、電動キックボードの飲酒運転の多発により、警視庁は渋谷区内の電動キックボードのシェアリング拠点周辺の店舗に協力を要請した。

 それ以前にも警視庁は4月25日、電動キックボードのシェアリング事業者に対して夜間の貸し出しを中止するように要請していた。「控えるように」ではなく中止なので強い要請だ。

 4月19日に可決された改正道路交通法により、一部の電動キックボードが2年以内に16歳から無免許で乗れることになったが、その施行を前に早速問題点が浮かび上がった形だ。

 警視庁は、すでに2021年12月からの実証実験で電動キックボードの

・酒気帯び運転:8件
・信号無視:41件

を摘発している。

道路交通法はどう定めているのか

横断歩道を歩く人たち(画像:写真AC)
横断歩道を歩く人たち(画像:写真AC)

 道路交通法には「酒気帯び運転等の禁止」について、次のように定めている。

・第65条(第1項):何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
・第65条(第2項):何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。
・第65条(第3項):何人も、第一項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。
・第65条(第4項):何人も、車両(トロリーバス及び道路運送法第二条第三項に規定する旅客自動車運送事業(以下単に「旅客自動車運送事業」という。)の用に供する自動車で当該業務に従事中のものその他の政令で定める自動車を除く。以下この項、第117条の2の2第6号及び第117条の3の2第3号において同じ。)の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運送して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第1項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。

 罰則に関しては、呼気1l中のアルコール量で0.15mg以上は「酒気帯び運転」となり、違反点数13点(前歴のある場合は取り消し)で免許停止、0.25mgでも同様に「酒気帯び運転」で25点の違反点数、免許取り消し(欠格期間2年)となる。

 さらに前後不覚の酩酊(めいてい)状態と判断されると「酒酔い運転」として違反点数35点の免許取り消し(欠格期間3年)と非常に厳しい判断が下される。

 これは道路交通法の違反に対してのもの(行政処分)であり、刑事罰は別となる。酒気帯び運転の場合は3年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金、酒酔い運転ともなると5年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金と、こちらも厳しい刑事罰が科せられる可能性がある。もちろん電動キックボードも例外ではない。

 ちなみに自転車も道路交通法上「車両等」なので飲酒運転自体は禁止されているが、道路交通法第117条では酒気帯び運転に関して「軽車両を除く」としているため、罰則は酒酔い運転のみに適用される。これが自転車の飲酒運転が減らない理由でもあるのだが、いずれにせよ飲酒運転自体は禁止されている。もちろん電動キックボードは軽車両ではなく原付、もしくは特定小型原付となるため酒気帯び運転も適用される。