止まらない物価高騰 元凶は「物流費」なのか? 業界にまん延する「物流 = コスト」という浅すぎる理解
商品の値上げの元凶と見なされているのが物流費の高騰だ。その背景には何があるのか。
最も重要な商品の「品質管理」
物流コストの削減要素はほかにもある。そのひとつは在庫だ。
在庫には生産費用投入の金利が発生しており、保管費用も含め、陳腐化による売価の低下や、廃棄に至るロスや費用もある。鮮度が後退して値引き販売するのも、在庫費用として見ることができる。
また、在庫不足で欠品を生じ、販売機会の損失につながるリスクもある。在庫にまつわる費用はこのように広範だ。
そして、何より重要なのが商品の品質管理だ。
消費者に満足なものを提供するまでが品質管理の工程であり、生産の手を離れたら終わりではない。物流は品質管理の最終工程であり、たとえ物流事業者にアウトソーシングしても、あくまで機能と責任を分担するにすぎない。必要なのは管理基準の明示であり、怠れば業務委託とは言い難い。
優越的地位を利用して、物流事業者に責任を負わせるなら、それは対等な関係とは言えない。
物流費が商品の値上げの大きな要因になっているならば、それはもう重要な
「社会コスト」
だ。
物流事業者に言い寄るだけでは本質的な解決にならないし、業界の慢性的な人手不足も続くし、社会的地位も上がらないだろう。
もちろん、業界自体の努力も必要だが、もっと物流やロジスティクス(原料の手当てから販売まで、物流を効率的に管理するシステム)の社会的な認知度を高め、理解を得ていかなければならない。その先頭に立つのは業界団体であり、国策としての物流システムのレベルアップを目指さなければならない。物流事業の規制緩和から物流効率化法、その次はロジスティクスだろう。