単なる「輸送網」ではない! 近年よく耳にする「サプライチェーン」の真意とは何か

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近年、よく耳にするようになったサプライチェーンやロジスティクス。その本当の意味とは。

サプライチェーンは「物流」にあらず

トラック(画像:写真AC)
トラック(画像:写真AC)

 ウクライナ戦争により、世界的な物資供給網に変調が生じ始めた。

 政治家や官僚の口からサプライチェーンという言葉が発せられるようになったが、ロジスティクスレベルに言及してほしい。ここでいうロジスティクスとは、単なる「輸送網」ではなく、さまざまな管理要素を含む、大きなシステムとして考える必要がある。

 国際間の一貫輸送において、トラック・鉄道・船舶・航空機などの複数の輸送モードをシームレスに結合していく必要がある。これは「国際複合一貫輸送」と呼ばれる。

 かつて、日本の道路やトラックの規格が国際基準に適合せず、非関税障壁と言われたこともあったが、今は条件整備が進んでいる。海上コンテナはもちろん、国際標準化機構(ISO)規格が基準となっている。

 そしてもうひとつの重要課題は、それぞれの結節点において、在庫管理や品質管理という運営が伴うことだ。これらを含む全体の供給網維持を、サプライチェーン・マネジメント(SCM)と呼び、企業間の管理連鎖が問われることになる。その基本は情報の共有化と言えるだろう。

在庫管理の意味とは何か

物流倉庫(画像:写真AC)
物流倉庫(画像:写真AC)

 在庫には

「需要と供給のバランスをとる重要な働き」

があり、各企業における需給管理の結果として生まれる。

 適正水準を維持するためには、正確な需要予測とリアルタイムの在庫を把握する必要があり、これらの情報を基に生産を調節する。

 在庫はさまざまな拠点に配置され、需要の変化に適応できるように管理する。つまりサプライチェーンの途上に配置され、全体量を最小化することが需給管理の目的となるのだ。

「物流」とは単にモノの流れや保管といった「物理的機能」の話であるため、物流システムを構築するためにはこれらの要素を組み合わせなければならない。

 これを生産や販売等の機能と連携させ、全体最適化を図るのがロジスティクスという概念であり、さらに他社システムにリンクさせていくのがSCMということになる。

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