物流業界「M&A」前年比150%に 22年上半期、「2024年問題」目前で業界再編加速か
年換算も過去最高ペースで推移
M&A(合併・買収)仲介大手のM&Aキャピタルパートナーズ(東京都千代田区)は7月13日、物流業界の最新M&A動向を分析した「物流業界最新 M&A動向レポート」を公開した。
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同リポートによると、2022年上半期(1~6月)のM&A件数は、前年比150%の21件となった。年換算は過去最多となる42件で、業界再編がさらに加速すると予想される。
物流業界における事業承継M&A(公表ベース)件数は2018年から大幅に増加し、2021年は31件で過去最多を更新していた。
同社は今回の発表に際し、
「物流業界において、特に大きなインパクトを及ぼすとされている懸念されている課題が目前に迫ってきている。いわゆる「2024年問題」。働き方改革関連法は、大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から順次施行されてきたが、物流業界については、5年の猶予期間があった。これら残業上限規制の適用も目前の2024年度に迫っている。中堅・中小の物流企業の経営は一段と厳しさを増すことが予想される。
大手・中堅から中小の物流企業ともに「2024年問題」の対応が迫られる中、M&Aを問題解決の手段として注目をされている。売り手、買い手企業の双方にとって、WinーWinの関係の中、問題解決の打開を目指し、成長を目指す取り組みも始まっている。売り手企業の場合は、ドライバー不足と高齢化に対処しつつ、競合他社と取り合いになっている労働力を新たに確保し続けることは、自社単独では限界もある。日本の高度成長期のような経営に追い風の状況は期待できず、ドライバーの不足の原因にもつながっている、労働環境や労働条件の改善を実現しなければ事業継続も危惧される。M&Aを活用することにより、大手企業にグループインすることで、大手のノウハウを活用し、経営基盤の安定化、採用力強化によるドライバーの確保も期待される。競争激化による運送単価の低下の改善も違う展望が描ける。大手グループの後ろ盾がある中で、荷主と交渉することの意味合いは言わずもがな雲泥の差がある。経営の不安定化の要因にもなる、経営者の高齢化や事業承継問題に対しても、解決が可能になる。
買い手企業の場合は、同様に中小企業の物流企業ほどではないにしろ、ドライバーの確保の問題はまったく無縁ではない。採用募集の広告等に多額のコストを投じ注力しているが、M&Aによりグループインしてもらうことで、相応の人数かつその分野に精通したドライバーをまとめて確保できる。M&Aにより人材に加えトラック車両はもちろん、そのエリアの輸送ネットワークや拠点、荷主も含め商圏も獲得できる点は大変魅力的に捉えられている。また、自社のウイークポイントになっている、物流機能やエリアの補完を達成でき、輸送の効率をアップできるのであれば非常に力強い成長ドライバーになると考えられる。大手・中堅の物流企業の経営者の中には、自社の飛躍のきっかけにM&Aを活用する企業も存在する。物流企業のM&Aの推移が増加している背景には、そのような両者の事情もある」
とのコメントを寄せている。