2021年の運送・運搬業「M&A件数」は前年とほぼ同水準 買収企業は同業が65%だった!

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M&A総合研究所が12日、M&A件数がほぼ前年と同水準で推移したと発表。業界における人手不足問題に危機感を抱き、中小規模の運送会社を買収するケースが目立った。買収した企業の業種は同業である運送・運搬業が「65%」と最多だった。

M&A件数は同水準で推移

「運送・運搬業」を対象としたM&A件数(画像:M&A総合研究所)
「運送・運搬業」を対象としたM&A件数(画像:M&A総合研究所)

 M&A総合研究所(東京都千代田区)が2022年5月12日、運送・運搬業に関するリポートを発表、企業の合併・買収(M&A)件数がほぼ前年と同水準で推移したことが分かった。

 調査対象期間は2019年3月1日から2022年2月28日までの3年間で、上場企業によるM&A(買収)案件のうち、運送・運搬業を対象としたM&A件数を調査した結果、

・2019年:16件
・2020年:19件
・2021年:17件

となり、2021年3月から2022年2月にかけて同水準で推移していることが分かった。

 一方、2020年3月から2021年2月までは新型コロナ感染拡大における「巣ごもり需要」により、運送・運搬業への需要が高まり、M&A件数が増加した。

 さらに運送・運搬業を買収した企業の業種を調査した結果、買収した企業の業種は同業である運送・運搬業が

「65%」

と最多であることが分かった。

原因は「人手不足問題」

買収企業の業種に関する年別推移(画像:M&A総合研究所)
買収企業の業種に関する年別推移(画像:M&A総合研究所)

 買収した企業の業種について年別推移を見ると、同業である運送・運搬業が占める割合は

・2019年:68.7%
・2020年:68.4%
・2021年:64.7%

と同水準で推移した。

 これは、2024年4月より適用される改正労働基準法により、ドライバーの労働時間に対する規制が厳しくなることによる人手不足問題を見込み、同業間でのM&Aが盛んに行われたのではないかと推測される。

 業界における人手不足問題に危機感を抱き課題解決に注力する大手・中堅が、中小規模の運送会社を買収するケースが目立った。

 M&A総合研究所は今回の結果について

「昨今のオンラインでの購買行動は年々右肩上がりで上昇しており、国内におけるきめ細やかやサービス・確実な時間指定・温度や品質の管理のクオリティ確保を目的としたリソースの拡充を目的に、今後もM&A件数が増加すると考えられる」

とコメントを寄せている。

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