単なる「輸送網」ではない! 近年よく耳にする「サプライチェーン」の真意とは何か

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近年、よく耳にするようになったサプライチェーンやロジスティクス。その本当の意味とは。

基本は「計画」と「統制」

サプライチェーン(画像:写真AC)
サプライチェーン(画像:写真AC)

 原材料の調達に始まり、どこで生産し、どう流通させるかをグローバルレベルで最適化させる――。従って、サプライチェーンは単なる輸送網ではないことが明らかだろう。

 供給網とするなら、必要な管理を含めた概念だ。これをまず自社で組み立て、必要機能を外部にアウトソーシングをするのが一般的である。これが管理連鎖の意味であり、つまりSCMとは、他社システムも含めた企業間最適化ということになる。

 まずロジスティクスの基本は、情報を駆使した計画と統制であり、とりわけ需給管理がその核心になる。市場情報を基に生産量を決定し、在庫配分を決める。

 販売予測は本来マーケティング部門の仕事であり、これとどう連動を計れるかが極めて重要になる。だから、ロジスティクスを単なる

「物流業務の延長」

として見るのは適切ではない。

ロジスティクスは「軍事用語」

港に入港するコンテナ船(画像:写真AC)
港に入港するコンテナ船(画像:写真AC)

 ロジスティクスはもともと軍事用語で、日本語で兵站(へいたん)と訳される。戦を行う場合、

・兵員
・武器
・食糧

などをどう調達するかという戦略であり、その前提は情報収集と輸送だ。

 国際会議の事前準備や設営がロジスティクスと呼ばれることもある。日本には古代より兵站思想はあり、特に中世以降の武家政権では必須だった。

 明治維新で急成長を遂げた日本が、超大国ロシアを相手にした日露戦争は、短期決戦の見事な兵站の勝利だった。ところがその成功におごり、太平洋戦争では軽視したと言われている。

 ビジネスロジスティクスも基本は同じだ。ただサプライチェーンが世界に拡大する中でリスクが増し、危機管理が問われている。それは日常業務管理の改善と、異常時の処置という両面が不可欠となる。特に後者は経営としての責任だ。

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