物流コスト高騰! なんとバブル期比110%も、経営者の怠慢で荷主「ノーリアクション」の現実
「物流コストインフレ」が企業に与える影響について考察。工場や営業が協力することで、物流コストを大幅削減できると筆者はいう。
「物流コストインフレ」の時代

昨今、実にさまざまな企業が値上げを発表している。原油をはじめとするエネルギー価格の上昇がその背景にあるわけだが、ニュースなどでは「物流費や原材料価格の高騰を受け・・・」と報じられることが多い。
生鮮食品のように「原材料」がない商品も存在するが、あらゆるモノの供給には物流が必要だ。「経済の血脈」とも称される物流のコストアップは、ほとんど全ての企業に影響を及ぼしているのである。
では、実際のところ、物流コストはどの程度上昇しているのだろうか。バブル経済の崩壊以降、トラックの運賃は長らく微減傾向にあったが、2014年頃から上昇に転じ、現在ではバブル期よりも10%ほど高い水準にある。まさに
「物流コストインフレ」
と称すべき状況にあるのだ。
企業の売上高に占める物流コストの割合も増加に転じている。商品の値上げは、このコストアップを価格に転嫁した結果といってよいだろう。
残念ながら、この状況はさらなる悪化が予想される。「2024年問題」があるからだ。2024年4月以降、今まで猶予されていた時間外労働の上限規制がトラックドライバーにも適用されるようになる。
要は、トラックドライバーの労働時間が短くなるということだ。働き方改革の思想からすれば正しい方向かもしれないが、このまま何もせずに放っておくと間違いなくトラックで運べる物量は減る。単に運賃が上がるだけではなく、今まで運べていたモノが運べなくなる可能性もある。「物流クライシス」は過去のものではなく、これから本格化するのだ。