音楽とネット大好きな21歳青年が、ひょんなことから「キッチンカー」配車サービスの社長になったワケ

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モビリティ分野のスタートアップ企業トップにインタビューするシリーズ企画。第1回目は、キッチンカーと出店場所をマッチングするプラットホームの運営会社「Mellow」の森口拓也社長。

キッチンカーが過疎・高齢社会を支える

現在、Mellowでは

・都市型モデル:東京・大阪・兵庫・福岡
・郊外型モデル:秋田・宮城(仙台)・岡山

など、地域に応じたプラットホームづくりを行っている。将来的には「観光地型モデル」も計画中だ。

 それぞれのモデルを実現するために、移動販売のDXを考え、ディベロッパーや自治体との連携も進めている。たとえば都市型モデルにおいては、三菱地所などと提携し、マンションの一角に出店している。

「日本には公共の建物が多いが、自治体それぞれに全く違った特徴や利活用の方法があり、活用しきれていない」と考えているMellowは、自治体との連携にも力を入れていく。日本の人口が二極化する中で、いかにそれぞれの自治体を活性化させるか。変化のない空間をいかに変化のある街に変えていくかを、自治体と力を合わせ共同で行っていくことに、手応えがあるようだ。

 たとえば、大阪府豊中市では団地や公園の利活用を行っている。市内の団地や公園にキッチンカーが行くと、団地に居住しているお年寄りや周辺住民が出店者と毎週コミュニケーションを取ることができる。

 単に食事を提供するだけではなく、コミュニケーションを通した人とのつながりも提供できている。キッチンカーを始めとした移動販売は、過疎化や高齢化などの社会課題に対する解決にもつながる。そしてローカルエリアでは、移動販売を持続的な社会インフラにするためのSHOP STOPのような仕組みが必要である。

「こうしたローカルエリアにおける展開を今後も模索していきたいですね」と森口氏は言う。

 また、東北では地元の企業が主体となってSHOP STOPの運営を行い、コールセンターの前などに出店し、人気を博している。

 ここでは自家用車で出勤している人が多いが食堂がない。みんな基本的に自作のお弁当か仕出し弁当などを昼食にしている。キッチンカーは「料理人のこだわりの料理」と「あたたかい」昼食を食べることができ、盛況だという。

 しかし、ここで森口氏はランチニーズのシェア全てをキッチンカーで奪おうとしているのではなく、ただ「選択肢を増やしたい」という点を強調する。「温かいものを食べると人は幸せを感じます。温かい食事を通じて、日常生活に変化をもたらせたら、と考えています」。

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