まるで現代のシルクロード? 中国と欧州を結ぶ複合輸送路「カスピ海ルート」をご存じか

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NX中国が4月1日から、中国とヨーロッパを結ぶ複合輸送サービスを開始。新型コロナウイルス感染拡大に伴う、中国国内のロックダウンによる物流の混乱に対処すべく、新たなルートを開発した。

NX中国が手がける新輸送ルートとは

中国河北省石家荘市のスマートポートで、中国・石家荘からロシア・モスクワへの出発を準備する最初のブロック列車(画像:EPA=時事)
中国河北省石家荘市のスマートポートで、中国・石家荘からロシア・モスクワへの出発を準備する最初のブロック列車(画像:EPA=時事)

 NIPPON EXPRESSホールディングスのグループ会社、NX国際物流(中国)有限公司(NX中国)が、4月1日から中国とヨーロッパを結ぶ複合輸送サービスを開始した。新型コロナウイルス感染拡大に伴う、中国国内のロックダウンによる物流の混乱に対処すべく、新たなルートを開発した。

 今回の新たなルートと、以前から利用されていた貨物輸送ルートの比較を交えながら、陸路による中国とヨーロッパを結ぶ貨物輸送について考えてみよう。

 今回、NX中国がサービスを開始した複合輸送サービスは「カスピ海ルート」といい、トラックと鉄道、そして船舶を組み合わせていることが特徴だ。ルートを整理すると以下のとおりである。

・中国国内各地~西安:ドレージ輸送(コンテナ陸送)
・西安~カザフスタン共和国アクタウ:鉄道輸送
・アクタウ~アゼルバイジャン共和国バクー:海上輸送(カスピ海)
・バクー~トルコ共和国イスタンブール:鉄道輸送
・イスタンブール~ヨーロッパ各地:ドレージ輸送

 リードタイムの一例は、西安からデュイスブルク(ドイツ)まで50~55日であり、週1便の輸送を行うとしている。

 また、このルートはロシアを経由しておらず、緊急事態発生時においてもヨーロッパ向けの輸送を確保するためのBCP(事業継続計画)輸送モードとしての利用を想定しているとのことである。

トランス=ユーラシア・ロジスティクスとは

 NX中国は以前より、中欧班列(中国とヨーロッパを結ぶ貨物列車)を利用した、鉄道輸送サービスを提供していた。

 中欧班列はトランス=ユーラシア・ロジスティクスともいい、ドイツ鉄道、ロシア鉄道、トランスコンテナ社、コンビフェアケア社による合弁事業である。

 2008年のテスト輸送を皮切りに、大きく分けて三つのルートを使用して、中国各地ーヨーロッパ各地間の輸送を行っている。輸送にかかる日数は15~17日とのことだ。ルートの概要は以下のとおりである。

・北ルート:中国国内~満洲里~イルクーツク~エカテリンブルク~モスクワ~ベラルーシ~ポーランド~ドイツ国内

・中央ルート:中国国内~北京~モンゴル~イルクーツク~(以降は北ルートと同様)

・南ルート:中国国内~阿拉山口~カザフスタン~エカテリンブルク~(以降は北ルートと同様)

 ロシアによるウクライナ侵攻後も運行は続けられている。しかしながら、戦闘行為による貨物の破損リスクやロシアによる差し押さえリスクを回避するために、利用が低迷しているとのことである。