鉄道で「富士山5合目」まで登る? 山梨県が計画も、地元は反発「富士山登山鉄道構想」をご存じか
富士山の有料道路に線路を敷設する「富士山登山鉄道構想」とは何か。経済効果のほどは。
「ハイヒールで日帰り登山」を目指して

焦点になったのは計画の是非だ。当時、頂上付近の寺社に参詣する目的で、ケーブルカーを敷設する山は増えていた。そのため、富士山にもケーブルカーができれば便利になると賛同する声も多かった。一方、混雑増加や環境破壊に対して懸念が広まった。
結局、内務省が
「国民の霊峰。六根清浄を唱えて汗をしぼりながら登り、心気を清浄にすることが良く、ケーブルカーでスラスラ登ることは感心できぬ」
と難色を示したことで、計画は頓挫した。
しかし、山頂まで続くケーブルカーを夢見る人は絶えなかった。1950(昭和25)年には甲州財閥の一翼として知られた、若尾財閥の御曹司・若尾鴻太郎が新たなトンネルケーブルカー案を出願したのだ。
この計画は1953年に若尾が死去したことで頓挫するも、富士急行の堀内一雄社長が引き継いだ。この「富士山地下鋼索鉄道」は国へ建設が申請され、「ハイヒールで富士山に日帰り登山」も間近と思われたが、これまた環境破壊への懸念から、計画は取り下げられた。
こうして話題が先行するなかで、2021年2月に山梨県の検討会総会で了承されたのが、冒頭の富士スバルライン上に軌道を敷いてLRTを運行するというものだった。
計画では定員120人、最高時速40kmの車両で、5合目まで
上り:52分
下り:74分
で運行。想定利用者数は往復運賃1万円とした場合、年間300万人、2万円とした場合は100万人と予測された。整備費の概算は1400億円が見込まれ、開通後は民間企業が運行を担う上下分離方式も検討されている。