鉄道で「富士山5合目」まで登る? 山梨県が計画も、地元は反発「富士山登山鉄道構想」をご存じか

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富士山の有料道路に線路を敷設する「富士山登山鉄道構想」とは何か。経済効果のほどは。

「富士山登山鉄道構想」とは何か

富士山(画像:写真AC)
富士山(画像:写真AC)

 富士山の麓から5合目までを鉄道で結ぶ、「富士山登山鉄道構想」をご存じだろうか。この構想は、ここ数年の間に何度も話題になっている。実現の可能性が高まっているのは、山梨県が富士山有料道路「富士スバルライン」上に線路を敷設して、次世代型路面電車(LRT)を運行するといったものだ。

 5合目までとはいえ、富士山に電車で登山できる壮大な計画だが、果たして、実現の見込みはあるのだろうか。

何度も浮かんでは消えた敷設計画

富士山登山(画像:写真AC)
富士山登山(画像:写真AC)

 計画は、山梨県が独走して進めている。その背景には、現在の長崎幸太郎県知事の選挙公約がある。これまでも、山梨県や、同県・静岡県東部などで事業を手掛ける富士急行が、敷設構想を何度か提示していた。

 そうしたなかで、2019年に当選した長崎知事は富士山登山鉄道の整備検討を公約に掲げた。長崎知事は鉄道を敷設することで

・1年を通して観光が可能になり、環境にも配慮できる
・鉄道そのものが観光資源になり得る

ことから、国家的なプロジェクトとして取り組むべきと意気込んでいた。

 当選後の2019年5月、後藤斉前知事が実現性や整備手法などを調査する目的で、勉強会を立ち上げた。

 長崎知事はメリットとして、

・鉄道開設により入山者数を管理できる
・マイカーやバスよりも環境負荷が少ない

ということをあげたが、世界文化遺産に登録されている富士山で新たな開発を行うことを疑問視する声が次々とあがった。そもそも富士山に鉄道を敷設する計画は、これまで何度も浮かんでは消えてきた。

 山梨県の現在進めている計画は5合目までだが、山頂まで鉄道を建設するというプランがかつて何度も提案された。なかでも壮大なのは、1935(昭和10)年にシチズンの創業者・山崎亀吉が国に出願したケーブルカーの敷設案だ。

 これは、山梨県側の吉田口登山道から大穴(トンネル)を掘って頂上まで登るというものだ。トンネルは直径16mで、地下40mに建設。列車がすれ違うポイントで、トンネルの直径は30mに拡大、さらに「潜ったままでは興がない」ため、5合目で乗り継ぎ所をつくるとしていた。車両は80人乗りで、麓から40分で山頂に到達できるとしていた。