商船三井も設立 現在、事業会社のベンチャーキャピタルが増加しているワケ
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5年間で306%成長

ベンチャー企業支援のフォースタートアップス(東京都港区)は2022年6月7日、日本国内のCVC投資件数の年間推移を発表、事業会社による国内CVCが、5年間で117社から361社と306%成長していることを明らかにした。
CVCとはコーポレート・ベンチャーキャピタルの略語で、「事業会社が自己資金でファンドを組成し、主に未上場の新興企業(ベンチャー企業)に出資や支援を行う活動組織のこと。自社の事業内容と関連性のある企業に投資し、本業との相乗効果を得ることを目的として運営される」(野村証券ウェブサイトより)。
近年、日本国内でもCVCの設立が相次いでいる。経済産業省は令和2年度税制改正で、国内の事業会社やその国内CVCが、スタートアップ企業とのオープンイノベーションに向け、スタートアップ企業の新規発行株式を一定額以上取得する場合、その株式の取得価額の25%が所得控除される「オープンイノベーション促進税制」を創設。政府や省庁の政策としても注目されている。
今回の発表に際して、フォースタートアップスではCVCの立ち上げが増加している理由について、
「近年、顧客ニーズが多様化する中でプロダクトライフサイクルが短い傾向にあるため、企業が自社のみのリソースで新たなサービスやプロダクトをつくり、提供するスピード感では市況観に間に合わない状況に陥りやすいと考えられます。スタートアップなどと外部連携をすることで、生産性の向上のほか、専門的な知見の共有、新たなビジネス創出も可能となるため、CVCの立ち上げが増加していると予想しております。外部との連携において、企業の合併・買収(M&A)やジョイントベンチャー、資本業務提携、業務提携などの複数の類型があり、それらの数も全体的に増加している状況です。中でもM&A件数は2017年度から2021年の過去5年間で68件から213件と増加し、313%成長。資本業務提携においては、同期間中に84件から343件と408%の成長を遂げました。こうした状況下で、CVCを通した出資件数も同様に増加傾向にあり、大企業の投資予算枠は合計6000億円を超えています。出資を通してスタートアップなどとの外部連携の体制を構築したい企業がより増加する見通しです」
とコメントを寄せている。
物流業界においても、商船三井やヤマトホールディングスなどが近年、CVCを設立している。