電気バスがパリで大炎上事故! 日々高まるEVへの不安、「容易に消火ができない」弱点をどう克服するのか
火災事故を起こしたRATPの電気バス

パリ交通公団(RATP)が導入している電気バスが先日、相次いで火災事故を起こした。脱炭素化が進む中で普及する次世代自動車だが、こうした事故は普及にいかなる影響を与えるのだろうか。
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RATPは、パリとその近郊地域で地下鉄・バス・路面電車を運営する国営企業だ。2014年に「バス2025プログラム」を取り決め、2025年までのディーゼルバスの全廃と二酸化炭素排出量の50%削減を目指している。
ディーゼルバスの代替となるのが、
・電気バス
・バイオメタン車
だ。
電気バスは2021年時点では258台にすぎないが、2025年までには1500台が導入される予定となっている。相次ぐ火災は、世界で進んでいる次世代自動車の普及を停滞させる可能性がある。
世界で相次ぐ炎上事故

次世代自動車の中でも、電気自動車の炎上事故は世界で報告例が相次いでいる。
理由は衝突事故などさまざまだが、たびたび指摘されるのはリチウムイオン電池のトラブルだ。リチウムイオン電池は携帯電話やノートパソコンに使われており、普及とともに発熱・発火のトラブルも相次いでいる。
リチウムイオン電池はリチウム金属酸化物の正極、炭素などの負極にリチウムイオンを行き来させて電気を起こすのが基本的な仕組みとなっている。鉛蓄電池やニッケル水素電池に比べて、トラブルは多い。過去には、製造過程で不要な金属粉が混入したり、製造工程で絶縁シートが破れたりしたために、異常発熱や発火に至った事例も報告されている。
使用機会の多いスマートフォンや、スマートフォン用のモバイルバッテリーでは、ショートを防ぐための保護回路を設けるなどの機能があるものの、それでも火災事例は多い。これまでの火災例では、発熱・発火前に電池を落としたり水没させたりしていたことが原因としてあげられている。