JR東の新夜行列車「ルナ・アズール」 なぜ乗車チケットは窓口から消えたのか? 「はやぶさ」との対比で見る体験価値への転換
「運んだ距離」から「もたらす体験の価値」へ。JR東日本が2027年度初めに投入する定員125人の新特急「ルナ・アズール」は、窓口販売のないネット限定の旅行商品だ。新幹線グリーン車(2万4180円)+αの柔軟な値付けにより、硬直した運賃制度を越えて鉄道ビジネスの稼ぎ方を変える新たな挑戦を追う。
体験価値を軸とする収益モデル

ルナ・アズールの登場は、鉄道の収益源が「運んだ距離」から
「もたらす体験の価値」
へと移る流れを象徴している。高付加価値な個室で客単価を引き上げ、乗客には質の高い時間を提供し、事業者は相応の収入を得る好循環が生まれる。
稼働率の追求だけでなく、希少価値による話題性や予約の競争性に重きを置き、高い需要を維持して持続可能な収益基盤を確立する仕組みが形になり始めている。
既存車両を改造して生かすアセットマネジメント戦略も強みだ。トレンド変化が激しい観光市場で、初期費用を抑えつつ内装をつくり替えて集客する手法は理にかなっている。
実際、既存車両を改造した夜行「WEST EXPRESS 銀河」がおおむね90%超の乗車率を維持している実績からも市場の受容度は高く、ルナ・アズールでも同様の集客力持続が見込まれる。収益をはかる物差しが、これまでの距離や速度とは違う新しい段階へ広がりつつある。